本研究では,Agナノ粒子焼結体の応力緩和特性および疲労き裂進展特性を独自のミニチュア試験片により計測した.この結果,焼結温度573Kまでは特有の低温クリープによる応力緩和が発現する.このクリープはAg焼結体特有の粒界構造とそこにおける拡散に支配される.また,疲労き裂進展特性は焼結温度の上昇とともに向上し,焼結温度573Kではより焼結温度が低い423Kに比較し,その速度は1/10となる.これらの結果から,Agナノ粒子を用いて,573Kで焼結接合すれば,応力緩和により半導体を熱応力から保護し,かつ良好な疲労信頼性を示す接合構造が得られる可能性を示した.
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