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2015 年度 実施状況報告書

気相中熱酸化プロセスによるハイブリッドナノ粒子の創生と形態制御

研究課題

研究課題/領域番号 26420716
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

古賀 健司  国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノ材料研究部門, 主任研究員 (30356969)

研究分担者 平澤 誠一  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 主任研究員 (30321805)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードナノ粒子 / 合金 / 酸化 / 接合 / 結晶成長 / 相分離 / 透過型電子顕微鏡
研究実績の概要

昨年度までに、Ni-貴金属合金のナノ粒子の急激酸化によって、合金ナノ粒子表面の一部からNiOナノロッドが異方的に成長することで、貴金属がその端部に接合されたハイブリッドナノ粒子が生成することが確認されたが、この現象が他の卑金属をベースとした合金ナノ粒子でも起こるかどうかを確認するために、Al単体およびAlと貴金属との合金のナノ粒子について同様に実験を行った。Al-5at.%Auナノ粒子の室温から酸素に曝す緩慢酸化と高温で酸素に曝す急激酸化の両方で気相酸化を行った結果、双方で完全酸化温度の著しい違いが見られた。特にこれまで報告が全く無い急激酸化では、Al-Auナノ粒子中のAlがγアルミナへ酸化されるプロセスは、Ni基合金の場合と同様に異方的な成長が起こることが明らかとなった。この結果、急激酸化による酸化物の異方成長がNiおよびAlで共通に起こることが確認された。
気相生成の貴金属-NiOハイブリッドナノ粒子による薄膜の電気抵抗型ガスセンサ特性測定のための装置立ち上げを行い、乾燥空気中に含まれた10~100 ppmの水素のセンシングを行うことが出来た。しかしながら、NiOナノ粒子膜は、大気中の水分の吸着による電気抵抗への影響が非常に大きいことがわかった。当初、粒子捕集後のくし型電極試料は、大気中搬送によってガスセンサ特性測定用の装置に固定していたが、大気中の湿度によってデータの再現性に問題が発生する恐れが十分に考えられた。この問題を避けるために、くし型電極基板への粒子の捕集後に、試料を大気中の湿気に曝さずにセンサ特性の計測へ移行できる、トランスファーシステムの立ち上げを行った。以上から、センサ特性のハイブリッドナノ粒子形態、貴金属の有無、貴金属種の影響などについて、詳細に研究を進めることできる段階となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

貴金属とAlの合金ナノ粒子の気相中高温での急激酸化では、貴金属とNiの合金ナノ粒子の場合と同様に、酸化物の異方的な成長が発生することが確認され、ナノ粒子の急激酸化の特殊性がより明確になった。また、気相生成されたハイブリッドナノ粒子による粒子膜のガスセンサ特性の測定については、気相生成~電極板への捕集(ナノ粒子膜形成)~水素センシング測定までの一連の動作を外気に曝さずに行う、トランスファーシステムを用意することが出来た。以上から、当該年度の進捗はおおむね順調であると判断できる。

今後の研究の推進方策

合金ナノ粒子の酸化誘起相分離現象によるハイブリッドナノ粒子の生成のより深い理解と、ハイブリッドナノ粒子が示す物性と形態との関係を明らかにすることを目指す。
急激酸化による酸化物の異方成長については、他の金属や、金属以外のナノ粒子でも起こるのかどうかを調べる。そこで、新たにSiやFeを取り上げ、これら単体のナノ粒子や、これらにAuを含有した合金ナノ粒子の急激酸化によって、SiO2や鉄酸化物の成長がどのように起こるのかを調べる。SiO2は酸性担体であり、一般の触媒調整法ではAuの担持が困難な組み合わせである。本研究によって、Au-SiO2ハイブリッドナノ粒子の生成が可能かどうかを確かめる。また、Auと酸化鉄が接合したハイブリッドナノ粒子は、ナノ医療分野への応用が盛んに検討されており、これまでコロイド法を駆使して合成されてきた。そこで、Fe-Auナノ粒子の気相酸化による、Au-酸化鉄ハイブリッドナノ粒子の生成条件を探る。
ハイブリッドナノ粒子の形態と物性との関係については、電気抵抗型ガスセンサ特性について調べる。NiO膜は微量水素について電気抵抗型ガスセンサの特性を示すが、その検出能力は、AuやPtなどの貴金属を付与した複合化によって著しく向上することが報告されている。しかし、ナノレベルの膜構造とセンサ能力との関係に迫った研究例はほとんど存在しない。この課題に対して、本研究では、貴金属とNiOとの接合構造をナノ粒子単位で制御し、それらによって構成される薄膜について、水素センサ特性の評価を行うことによって、特性とナノレベル構造との関係に迫ることを目標としている。平成27年度に準備が完了したトランスファーシステムを使用し、NiOナノロッド、Au接合NiOナノロッド、Pt接合NiOナノロッド、通常のNiO粒子などについて、水素センサ特性がどのように変化するかを調べる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Gas-phase fabrication of noble metal-γ-Al2O3 Janus nanoparticles and nanoworms2016

    • 著者名/発表者名
      古賀健司、平澤誠一
    • 雑誌名

      Journal of Materials Science

      巻: 51 ページ: 3250~3256

    • DOI

      10.1007/s10853-015-9636-2

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Evidence for the anisotropic oxidation of gas-phase Al nanoparticles2015

    • 著者名/発表者名
      古賀健司、平澤誠一
    • 雑誌名

      Journal of Nanoparticle Research

      巻: 17 ページ: 290-1~290-9

    • DOI

      10.1007/s11051-015-3095-1

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Al-貴金属合金ナノ粒子の気相中酸化による相分離形態2016

    • 著者名/発表者名
      古賀健司、平澤誠一
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      東北学院大学泉キャンパス(宮城県)
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-19
  • [学会発表] Alナノ粒子の気相酸化プロセス2015

    • 著者名/発表者名
      古賀健司、平澤誠一
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      関西大学千里山キャンパス(大阪府)
    • 年月日
      2015-09-18 – 2015-09-18
  • [学会発表] 貴金属―NiOヘテロ接合ナノ粒子の気相生成と形態制御2015

    • 著者名/発表者名
      古賀健司、平澤誠一
    • 学会等名
      ナノ学会
    • 発表場所
      東北大学片平さくらホール(宮城県)
    • 年月日
      2015-05-12 – 2015-05-12

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公開日: 2017-01-06  

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