研究課題/領域番号 |
26420721
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
倪 慶清 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (00252544)
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研究分担者 |
夏木 俊明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10432171)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電磁波遮蔽 / 強誘電体 / カーボンナノチューブ / ナノ複合 |
研究実績の概要 |
マイクロ波からミリ波までの様々の電磁波を遮蔽するには電磁波遮蔽材料を用いることがもっとも有効である.しかし,現在までの電磁波遮蔽材料は主に金属材料から構成され,省エネと軽量化が要求される今日,金属材料の代わりに新規電磁波遮蔽材料の開発が急務となっている.本研究では材料の観点からの対策方法である有効な電磁波遮蔽材料を開発し,応用することを目的とする. 近年,ナノ新素材としてカーボンナノチューブは非常に優れた導電性や軽量性及び力学的特性を有していることが知られており,各分野への応用研究が行われている.本研究グループでは,カーボンナノチューブの電磁波特性に注目し,ポリマー樹脂とのナノコンポジット化による材料開発を行い,世界にさきがけて優れた電磁波遮断特性を有することを見出した.それを踏まえて,本研究では,さらなる高性能の電磁波遮蔽材料を創出するため,強磁性複合粒子や強誘電体の創成,強磁性複合粒子や強誘電体のカーボンナノチューブとのナノ複合化,誘電体材料の最適設計及び構造配置による特定周波数における電磁波遮蔽の実現を目指している.これらにより電磁波遮蔽製品の設計自由度が格段に向上すると同時に,工業応用から特定周波数遮蔽が必要とする情報・高機密性などの分野への製品開発,電磁波制御が実現できる. 具体的には,強磁性複合粒子を創成し,複合化された材料構造内における電磁波多重反射による電磁波遮蔽を実現する.強誘電体チタン酸バリウム(BaTiO3)を新規創成し,カーボンナノチューブにチタン酸バリウム層を表面修飾して担持させ,その上導電性ポリマー,強磁性粒子とのナノ複合化により,多機能電磁波遮蔽材料を創出する.また,ナノ誘電体の構造設計と多層配置により特定周波数における電磁波遮蔽構造設計を実現する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
材料の試作ができた.従来の金属材料の電磁波遮蔽材料に比べ,磁性と誘電体特性を兼備するカーボンナノチューブ担持BaTiO3を創成できた.電磁波遮蔽効果の評価によりナノ複合化された電磁波遮蔽材料材の開発ができた.また創成条件の種々の試作を行い,より高性能のものの創成を試みた.開発した材料は高性能の電磁波遮蔽特性を有していることがわかり,当初目標をほぼ達成した.
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今後の研究の推進方策 |
強誘電体BaTiO3とカーボンナノチューブとの複合化をさらに検討し,より最適な条件での試作を行う. また創成された電磁波吸収体をポリマーとの複合化を行い,最適構造を見出し,高性能電磁波遮蔽材料を開発する. さらに,電磁波評価手法を検討し,ナノコンポジットの評価に有効な手法の確立を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より,安価に研究が進んだため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はH27年度請求額と合わせて溶媒購入に充てる.
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