研究課題
今年度は,実験においては基礎的なデータの取得を行った。実験用の試料として,Al-4Cu合金試料を鋳造し,それを加工熱処理することで結晶粒径の調整をおこなった。そして,SPring-8へ赴き,ビームラインBL20XUにその場観察用の試験機を設置し,作製した試料を用いてX線回折実験を行い,結晶方位解析に使うことのできるX線回折画像データセットを取得した。変形ひずみ状態の異なる条件で,結晶方位マッピングを試みるため,引張変形のひずみ量(7段階)を変化させて放射光実験を行った。実験の際には,X線集光デバイスを用いて,X線集光によるX線回折への効果の評価も行った。その結果,変形条件の違いによるX線回折強度や回折点の形態の広がりの違いを確認した。さらに,良好なX線回折が得られる集光条件を明らかにするとともに,X線回折シミュレーションを使って,集光を使った実験条件の検討および決定を行った。実験によって得られたデータは解析法検討の基礎データとして,引き続き詳細解析を進め,その結果をまとめる予定である。結晶方位マッピングの解析手法の検討としては,多結晶材料のX線回折シミュレーションの構築を進め,それによりシミュレーションX線回折画像を生成し,それをいくつかの検討中のアルゴリズムに供して結晶方位の算出を行うことで,有効性の確認を行った。これらの研究および検討の内容については,軽金属学会の秋期大会にて口頭発表した。
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究計画であった以下について、実験および調査・評価が予定どおり進んでいる。・試料の変形条件とX線集光による効果を明らかにし,最適な実験条件を得る。
結晶方位決定のために,次年度は、逆格子空間中の散乱ベクトルセットの適合度を評価する関数の定式化を行う。そして,各種最適解探索アルゴリズム(ランダム探索,遺伝的アルゴリズム,粒子群最適化法,反復法など)の適用を試みる。最終的にベストな条件で3D/4D結晶方位マッピングをデモンストレーションして完了するために,2回目の放射光実験を行う。これには,1回目の実験解析の不足点の補充的な意味と,よりチャレンジングな大ひずみ条件で方位マッピングを行うという意味の二つがある。
予定していた研究用物品の購入手配が年度内に間に合わず,翌年度の納入となってしまったため。
予定していた研究用物品の購入,研究のための情報収集・成果発表に伴う学会参加旅費として使用する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件)
11th International Conference on Technology of Plasticity, ICTP 2014, 19-24 October 2014, Nagoya Congress Center, Nagoya, Japan,Procedia Engineering
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