研究課題/領域番号 |
26420724
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
遠藤 宣隆 山口大学, 理工学研究科, 講師 (40314819)
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研究分担者 |
比嘉 充 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30241251)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 燃料電池 / 高分子電解質膜 / ポリビニルアルコール / ブロックポリマー / メタノールバリア性 |
研究実績の概要 |
本研究ではポリビニルアルコール(PVA)に陰イオン交換基としてQBm鎖を導入したブロック共重合体PVA-b-QBmを用いた電解質膜(PEM)を作製し、得られた膜の基礎特性評価を行った。また、PVA-b-QBmを用いて膜電極接合体(MEA)を作製し、単セルを用いたDMAFC発電特性評価を行った。 PVA系PEMは10 wt%メタノール溶液において、最大69.0 mW/cm2の出力密度を示した。PVA系PEMは市販の陰イオン交換膜であるNeosepta AMXと比較して約6倍の高い出力密度を示した。またFumatech社のFumasepFAS-30は、低メタノール濃度(3.2wt%)では最大77.1 mW/cm2の優れた発電特性を示したが、メタノール濃度の増加とともに急速に出力は低下し、20wt%において約30%まで低下したが、PVA系PEMは約60%の出力を保っており、高濃度メタノール燃料における優れた特性を示した。この結果より、PVA系PEMは高いメタノールバリア性によりメタノール透過による出力の低下を抑制し、高濃度のメタノール溶液において他の膜より高い出力を維持すると考えられる。 これよりPVA系PEMはより高濃度のメタノール溶液を燃料としたDMAFCにおける高い性能が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ポリビニルアルコールを基盤材料としたポリカチオンの合成とこれによるDMAFC用高分子電解質膜の成膜、比較用の膜としてのFumasep膜の評価など順調に進行している。 しかし本年度は同ポリマーを用いた電極の作成を行う予定であったが、十分な性能の電極を作製できておらず、その点で遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
PVA系カチオンポリマーを用い、市販の白金担持カーボン粉末を用いた電極の作製と、それによる純PVA系膜電極接合体(MEA)の作製及び性能評価を行う。MEAは電極を形成するイオノマーおよび電極と電解質膜を接合するバインダーとその接着状態が重要で、そこで生じるセル抵抗の大きさによりその発電性能は大きく影響を受ける。PVA系イオン交換ポリマーをベースに、イオノマー・バインダーに最適化したイオン伝導性接着剤の開発と、電極および膜電極接合体(MEA)の作製条件による構造やセル性能への影響を通して、膜電極およびMEAの構造最適化を検討する。 性能評価はフロー型燃料電池評価装置における実験系を用い、発電特性および電気化学特性を測定・解析する。また、アルコールクロスオーバーによりカソード側に移動したアルコール量を定量する。また、電極の有効白金面積の評価を、水素供給下におけるサイクリックボルタモグラム方により評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施した電極作製において十分な性能が得られなかったこと、および燃料電池評価装置の移設に伴う再設定が難航したため、本年度購入予定だった水素ガス発生装置の購入を遅らせたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
燃料電池評価装置の設置及び再設定が完了次第、水素ガス発生装置を購入する。
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