研究課題/領域番号 |
26420729
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
藤原 弘 同志社大学, 理工学部, 准教授 (80320117)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 微細組織制御 / 粉末冶金技術 / 機械的特性改善 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,Ti-Al合金の室温や高温における機械的特性を改善するため,複合調和組織制御および燃焼反応プロセスを利用して,アルミナ分散TiAl合金/純チタン複合調和組織材料の作製および機械的特性の評価を試みた. 昨年度の問題点であった焼結性の問題は,超鋼製のパンチとダイスを用い,下記の手順で焼結することにより改善することができた.Al粉末とTiO2粉末をモル比7:3の割合で,300 rpm,180 ksのメカニカルミリング処理を行い,Al/TiO2混合粉末を作製し,その後,Al/TiO2混合粉末を1073K,Ar雰囲気で燃焼反応処理を行うことにより,Al2O3分散Ti-Al合金粉末を作製した.純TiとAl2O3分散Ti-Al合金粉末を体積比9:1 ~ 7:1となるように混合し,200 rpm,72 ksでメカニカルミリング処理を行うことで得られた複合粉末を放電プラズマ焼結装置により,真空雰囲気中で1023 K, 200 MPa,保持時間1.8 ksの条件で超鋼製のダイスとパンチを用いて焼結した. 作製した焼結体は純Ti,TiAl,Ti3Al,Al2O3で構成されており,ネットワーク領域はTi-Al合金(TiAl,Ti3Al)の母相にAl2O3粒子が分散した組織,分散領域は純Tiであることが明らかとなった.作製した焼結体の硬さは234HVとなっており,従来のTi-Al合金/純Ti複合調和組織材料と比較しても同程度であった.またネットワーク領域ではAl2O3粒子が分散しているため,硬さは845HVと非常に高い.引張試験結果では,破断面は延性を示す断面であったが,いずれの焼結体も弾性域で破断した.これはネットワーク領域が低密度であるためであると考えられる.ネットワークを高密度化すればAl2O3分散Ti-Al合金/純Ti複合調和組織材料はさらなる延性を示すことが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調和組織制御および燃焼反応プロセスを利用して,超鋼ダイスと超鋼パンチの導入により,低温で高圧での放電プラズマ焼結が可能となり,さらなる機械的特性改善の可能性を示すことができたため
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、アルミナ分散TiAl合金/純チタン複合調和組織材料創製プロセスの改良を検討し、得られた材料の機械的特性を評価する。特に、高温強度特性を評価する予定である。これらの結果を考慮し、優れた機械的特性の発現メカニズムを検討し、研究統括を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に関連する学会発表や情報収集のための旅費において、比較的近隣地域での開催が多く、他の研究予算などの支出もあり差額が生じた。また、電子顕微鏡試料作製用装置は、当初の予算よりも安価なものを購入できたため差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費使用計画においては、試料作製に必要な消耗品や学会参加および研究成果報告の費用に用いる予定である。また、粉末材料の取扱のためのグローブボックスが不調なため、これに代わる装置の購入も検討する予定である。
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