| 研究実績の概要 |
Al2O3分散Ti-Al合金複合材料および純Tiによる複合調和組織材料を作製し，その組織と機械的特性を評価した．純Al粉末とTiO2粉末をモル比7:3の割合で混合し300 rpm,180 ksの条件でメカニカルミリング(MM)処理を施すことで混合粉末を作製した．その混合粉末に1073 Kで熱処理を施すことにより，TiAlの母相に200nmのAl2O3粒子が分散した複合粉末を作製できる．そのAl2O3分散Ti-Al合金複合粉末を30 vol%の割合で純Ti粉末と混合し，200 rpm，36 ksの条件でMM処理を施すことにより，純Tiの外殻部にTiAl/Al2O3複合粉末がコーティングされた複合化粉末を作製することができた．その複合化粉末をSPSにより焼結することにより，複合調和組織材料を作製できる．作製した複合調和組織材料は， Al2O3分散Ti-Al合金複合材料のネットワーク領域と純Tiによる分散配置領域によって構成されている．ネットワーク領域は平均粒子径200 nmのAl2O3粒子がTiAlに分散した組織であり，分散配置領域は平均結晶粒径が40 μmの均一粗大粒組織である．
ビッカース硬さ試験により，複合調和組織材料の分散配置領域の硬さは209 HV，ネットワーク領域の硬さは846 HV，全体の硬さは234 HVであることが明らかとなった．ネットワーク領域の硬さは従来のTi-Al合金/純Ti複合調和組織材料よりも大きく増加している一方，分散領域の硬さは同程度に抑えることができる．高温ビッカース硬さは、873 Kで102 HV,1073 Kで81 HVであった．293，873 KにおいてTi領域へのクラックの進展は確認できず，1073 Kの環境下においてTiへのクラックの進展が確認できた．このことより本研究で作製した焼結体の想定される使用環境温度は873 K程度である．
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