研究課題
本申請課題では、有機溶媒を用いない、環境にかかる負荷をできるだけ抑えた、水媒体中でCISコロイドを合成し、これらを無機光増感剤に用いた湿式太陽電池に関する研究を進めている。各種In/Cuの組成(1~4)を有する銅-インジウム金属硫化物 (以下、CIS) コロイドは、メルカプト酢酸、チオ酢酸など様々な保護剤を用いて、水溶液中で室温にて合成した。これらCISコロイドを無機色素増感剤とし、TiO2薄膜に吸着させることで、CIS-TiO2薄膜を作製し、さらに、SILAR(交互吸着法)を用いて、ZnS/CIS-TiO2光電極を作製した。CIS-TiO2光電極を負極,カーボン電極を正極,そして多硫化物イオンをレドックス電解質溶液に用いて、湿式太陽電池の特性評価を行った。様々な検討を行った結果、チオ酢酸を保護剤として用いて作製したZnS/CIS-TiO2(In/Cu = 3)光電極は、800nm付近までの可視領域の光を吸収することができ、太陽電池特性として、高いエネルギー変換効率 (PCE) を示し、最大で6.3 %を超える結果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
本申請課題では、目標として太陽電池のエネルギー変換効率(PCE)を7 %と設定していた。1年間の研究が順調に進み、6.3 %に達しており、7 %を超える見通しがついた。
更なるエネルギー変換効率の向上に向けて、次に示す点について、検討を行う。1)マイクロ波照射によるCISコロイドの高結晶化2)CISコロイドのシェル(殻)にZnSをコーティングして、逆電子移動の抑制3)レドックス電解溶液の最適化また、印加交流インピーダンス(コールコールプロット)測定を行い、太陽電池の各電荷移動速度に対応した電荷移動抵抗を評価し、反応抵抗の高い素過程を突き止める。得られた知見を高性能太陽電池セルの構築へフィードバックしていく。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
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