研究課題
研究期間全体を通して、有機溶媒を用いない環境への負荷をできるだけ抑えた、水媒体中で水溶性チオール類をコロイドの保護剤に用いて、ナノメートルサイズの銅-インジウム-硫化物(以下、CIS)量子ドットナノコロイドを合成し、それらを無機色素として用いた量子ドット太陽電池に関する研究を遂行した。特に、平成28年度では、得られたCISナノコロイドにマイクロ波照射することでナノコロイドの結晶性を高めることに成功し、これらを無機光増感剤として用いたCIS-TiO2光電極が、高効率な湿式太陽電池の光電極材料として稼働することを見出した。下記に得られた知見を纏める。1)各種In/Cu比率のCISコロイドを合成し、これらにマイクロ波を照射し、加熱温度を80℃から200℃まで変化させたところ、加熱温度が上昇するに従って、ナノコロイドの結晶性および粒子サイズが増加し、それらの光学特性は長波長側へとシフトした。2)1)で合成したナノコロイドを光増感剤に用いてCIS-TiO2光電極を作製し、太陽電池特性について検討したところ、160℃でマイクロ波照射したCISナノコロイドが最も高いエネルギー変換効率を示し、6.1%を達成した。我々が知る限りでは、水媒体中で合成したCISナノコロイドの中で最も高い値を示すことを見出した。一方、光電気化学測定を駆使することでCISナノコロイド内に含まれる欠陥サイトの量についても定性的に検討を行った。その結果、この変換効率の向上は、CISナノコロイド内に含まれる欠陥サイトがマイクロ波照射により減少し、結晶性が向上したためであると結論付けた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件)
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