研究課題/領域番号 |
26420736
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
佐伯 淳 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (50221255)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電気化学堆積法 / 薄膜 / 水溶液 / 外部刺激 / 定在波 |
研究実績の概要 |
[外場変動型電気化学堆積装置の作成] 前駆体水溶液からの分解析出反応を利用するのに最適化した成膜装置の作成を行った。結晶性を促進するのと同時に薄膜中に周期構造を形成する目的で基板直上にファンクションジェネレーターで生成した低周波~高周波領域で様々な波形の電場を変化させるユニットを組み込んだ。対向電極は2軸方向にもうけ、第1軸方向は成膜用の電極として用いて、他の1軸方向は外部刺激による定在波又は変動用として成膜電極に対して直交して配置し、それぞれ独立した電源を用いた。印可電圧・周波数を変動させ、又各電流、抵抗値(インピーダンス)を成膜条件の設定のために随時モニターし解析している。今後二次元のパターンが成膜できるように、外部刺激用の電極を更に一組追加する予定である。 [電気化学堆積法による水溶液からの薄膜の作成] 本研究では今までに蓄積した成膜条件を元に原料として、ZrO(NO3)2・H2O、Y(NO3)3・6H2O、NH4OH、H2O2等を混合した水溶液を用いた。基本的にはpH変化による析出反応を利用する。電気化学堆積法では溶液中のイオンの移動と極板近傍での分解析出反応を利用しての成膜を行うため電圧電流の精密な制御が必要となる。成膜したままではOH基が残留し結晶性が十分でないため熱処理を行うが、低環境負荷を考慮して500℃での膜形成を行った。基板としては光学特性の利用や大面積化を目的としているのでガラス基板を用いた。パルス電場を印可して成膜した場合には基板直上で形成される定在波の節に相当する縞状の部分にのみ成膜することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成膜装置の作成を行い、基本的な成膜は出来るようになったが、まだ一次元のパターン作成にとどまっている。また複合パターを形成しようとして、長時間の成膜もしくは場所を移動しての成膜においては、長期に渡り溶液にさらされた部分が、再溶解してしまい、パターンが消えてしまうという問題が有ることが分かり、その対策を検討中である。これらの問題の解決が必要だったために、十分には進展することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行は少し遅れてはいるものの、成膜電流の周期的な変化と成膜パターンには相関関係が有ることが分かったので、当初の計画に従い成膜電流の周期的な変化を意図的に変化させることによって、成膜パターンを制御するプログラムを作成する。更にパターン制御用に更に一対の電極の追加を行うことで、二次元のパターン作成も試みる。また当初の目的にも記載したとおり、さらにTiO2(アナターゼ型もしくは当研究グループで作成方法を確立したブルッカイト型)の微粒子も分散混合して同時に成膜することにより複合相乗効果のある膜の作製を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していた測定機器では十分に成膜における現象や、成膜した薄膜の特性を評価できないことが分かったので、要求を満たす機器に変更した。このため、また未充足の機器が生じてしまったが、残り予算では不足するために、次年度の分と合わることで、導入可能となるため次年度へ繰り越した。なお不足機器に関しては能力不十分ではあるが現有の機器を代用して使用中。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の分と合わせることで、前年度導入していない機器および本年度の予定機器を導入予定。
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