絶縁性基板上でUV照射による基板表面改質法を組み合わせて形成した無電解めっき金属皮膜について、皮膜/基板界面の元素の化学結合状態および結晶構造、特に加熱処理による界面の状態変化から皮膜/基板界面の密着力を明らかにすることを目的とし、放射光を利用するX線吸収微細構造(XAFS)の分析システムの開発・高度化と併せて研究を行った。試料には、ソーダガラスを基板として無電解Cuめっきによる成膜後に電解Agめっきおよび電解Cuめっきを成膜した試料を用いた。in-situ XAFS分析システムの開発及び測定は、九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)の九州大学ビームライン(BL06)において実施した。in-situ XAFS分析システムは、He置換(又は真空)可能なチェンバー内に加熱ヒーター(PG/PBN)及び熱電対を組み込んだ試料ホルダを設置し、温度コントローラにより試料温度を制御するシステムとした。XAFS測定では、転換電子収量法(CEY)により皮膜および基板表面、蛍光法(PFY)により皮膜/基板界面の検討を行った。蛍光法では、シリコンドリフト検出器(SDD)の出力信号から波高分析器により目的元素の蛍光X線の強度のみを取り出し、これをカウンターで計数してXAFSスペクトルとした。改質処理、触媒付与、無電解めっき、電解めっき等の各過程でのXAFS測定を行い、皮膜及び界面の状態について考察した。
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