研究課題/領域番号 |
26420745
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
吉田 一也 東海大学, 工学部, 教授 (80147123)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 環境 / 軽量化 / 伸線 / ワイヤーハーネス / ばね / 異形線 |
研究実績の概要 |
本研究では2つの課題があり、それぞれの研究実績を下記に示す。 1)ワイヤハーネス材料の銅からアルミへの材料代替 実用化にとって最も大切なものは、ワイヤハーネス用線材である伸線材の延性向上である。線材の延性向上に有利である交互伸線を提案し、アルミニウム線を伸線した。具体的には直径10mmの素線から直径0.2mmのワイヤハーネス用線材に伸線した。ダイスは通常の超硬コニカルダイスを使用し、ダイス半角を6°、断面減少率は20%で実験を行った。新しい加工法の「交互伸線」で得られた伸線材と通常の加工法による伸線材とを用意し、ワイヤハーネス用線材として必要な機械的性質等を検討した。提案した交互伸線加工法では高強度でかつ延性の高い線材が得られること明らかにした。また、FEMシミュレーションによる塑性力学的な考察も行った。 2)異形断面を持つ線材を利用した軽量・高強度・高たわみばねの開発 高強度でかつ高たわみがとれるばねの開発により、エンジンの縮小化や自動車重量の軽量化を達成することができる。通常ばね用線材として使用される丸線を異形線に置き換えできるか検討した。研究ではばね鋼(SUP12)を用い、異形の伸線を行い、要求される寸法精度が得られるか調べた。2パスの伸線により、エンジン用弁ばね用線材が製造できることを明らかにした。得られた異形線を鶴巻きばねにも加工することも可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度の研究計画項目は、ほぼ予定通り進捗しており、その達成度も予定以上である。
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今後の研究の推進方策 |
得られた知識・技術を生かし、自動車用ワイヤハーネスとエンジン用弁ばね用の線材製品の実用化が可能な伸線加工技術を確立する。1)ワイヤハーネス材料の銅からアルミへの材料代替より高強度・高延性であるアルミニウム伸線材の伸線加工条件の確立をする。ワイヤハーネスの製品化・実用化に必修であるの高耐久試験(繰り返し曲げ試験、衝撃試験など)を行う。提案した加工法の有効性を明らかにするため、EBSDやXRDなどの装置を用い金属結晶方位学の面から考察を行う。 2)異形断面を持つ線材を利用した軽量・高強度・高たわみばねの開発 試作したばねの各種品質試験の実施とその評価 軽量・高強度・高たわみばねであることを保証できる各種試験を行うと共にその評価を行い、製品化の可否を行う。伸線した線材の残留応力分布、表面疵および金属組織等が高疲労強度に与える影響について考察する。 弁ばねとサスペンションばね共サイズを変更し、品質に与える寸法効果を検討し、製品サイズ範囲を広げる。 また、得られた研究成果を基に、企業の協力研究チームから出される意見や評価を考慮し、製品の実用化を最優先に考え研究を推進する。企業への技術移転の可能性や製造コスト・品質がユーザーの要求に適するか等について第三者による評価も行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
外国旅費の予算を使わなかったこと、引抜き工具は既存の物を使用したことが収支としてプラスになっています。しかし、ロードワッシャ(荷重計)などの費用が高くなったなどがあり、結局年度の収支として90229円が残額となりました。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度の研究費残額は約9万円であり、ほぼ計画通りの予算で研究計画を立てることができます。
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