研究実績の概要 |
ロールピッチは40mmで上ロール3本で下ロールが4本のロール曲げ装置を用いて繰返し曲げ加工を行う.対称曲げではロール径をφ32、非対称曲げでは、下ロールをφ32,上ロールをφ28とした.供試材にはマグネシウム合金AZ31の板厚1.0mmの圧延材を使用した.ロールの押し込み量を調節し,1パスあたりそれぞれ,0.047の塑性ひずみが表層に導入されるようにした.1パスあたりのひずみはロールによる2回の曲げ曲げ戻しサイクルの累積ひずみである.加工前に400℃で1時間焼鈍し,加工後の焼鈍(400℃で1時間,180℃で1時間、160℃で1時間)の有無の影響を調査した. 対称曲げでは、焼鈍しが無い場合は加工パス数の増加に伴い硬さはHv60からHv73程度まで上昇するが,成形性の指標であるエリクセン値3.05から2.96に低下した.焼鈍材では硬さは加工前と比べると400℃、180℃、160℃でそれぞれ、Hv55,Hv45,Hv67となりエリクセン値はそれぞれ,3.4,3.56, 3.2となった.180℃と160℃では大きな違いが見られたがこの20℃の間に再結晶温度が存在するからである. 非対称曲げでは、加工により、Hv73まで上昇し,エリクセン値は3.20に上昇した.硬さは対称曲げとほぼ同等であったがエリクセン値はわずかに上昇する結果となった.焼鈍材では硬さは加工前と比べると400℃, 180℃, 160℃でそれぞれ,Hv49,Hv42,Hv60となりエリクセン値はそれぞれ、3.9,3.57, 3.4となった.これらのことより,硬さと成形性のバランスから非対称曲げの効果が確認された.幾何学的に求められるひずみが等しい条件で曲げ加工を行ったが,非対称曲げではせん断ひずみが大きくなる.この影響を有限要素法によっても解析したが,明確なひずみ分布の違いを得ることが出来なかった.解析に求める応力ひずみ曲線に圧縮―引張の非対称性を導入し解析を行う予定である.
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