CaO-SiO2-10/15mass%Al2O3-2P2O5組成原料を溶融保持し炉外急冷したガラス試料2種について、リン化物イオンの揮散を防ぐため、密閉性の高い試料管を用意しグローブボックス内Ar雰囲気下で試料を試料管封入した上で31P MAS-NMR測定を行った。また参照データとしてCa3P2試薬のNMR測定を行い結果を比較して、リン化物イオン由来と考えられるピークを同定できた。 1500-1600℃保持かつ急速冷却できる赤外線炉を導入、脱酸Ar-O2雰囲気で加熱急冷できる装置を作製した。続いて、Al2O3を含まないCaO-SiO2-2mass%P2O5組成原料のガラス試料を作製できたので、2CaO・SiO2(C2S)試料を5mass%加えて、赤外線炉内PtるつぼでAr気流下で溶融急冷させマルチフラックス試料の作製を試みた。当初予定の加熱条件では冷却速度不十分でガラス化しない、また温度を上げるとガラス化するもC2Sが全て固溶してしまうことが分かった。ガラス中に固体C2S粒子がわずかに存在する固液共存の作製条件を調査し、Ar気流下1530-1550℃加熱、10mass%C2S添加とした。 本条件で、フラックス試料をAr気流下1時間加熱→雰囲気をAr-21vol%O2および100%O2に変えてそれぞれ0/1/4/10/30分および1/10分加熱し急冷することで、ガラス化試料を作製できた。いずれも試料上部から光顕観察し、内部に直径10um前後のC2S粒子が少量含まれ固液共存状態であることを確認した。 Ar-21%O2-0/1/10/30分加熱急冷試料4種について切断研磨面を作製し、中央部を深さ方向500um毎に顕微ラマン測定を行った。Si-O結合に帰属するピークを同定し、ピーク分離を行って非架橋酸素割合を調査した。
|