研究課題/領域番号 |
26420756
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤野 茂 九州大学, 産学連携センター, 教授 (10304833)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シリカガラス / ポリビニルアルコール / メソポーラス / 焼結 / 透明石英ガラス / 省エネルギー製造プロセス / 微細加工 / ガラス成形加工 |
研究実績の概要 |
本研究ではメソポーラス構造を有するシリカナノ粒子/PVA(ポリビニルアルコール)ナノコンポジットの調製方法を確立する。ここで得られたナノコンポジットを大気中、約1000℃と低い製造温度で焼結することで,大幅な製造エネルギーの削減を実現する機能性シリカガラス製造プロセスを提案する(従来の製造温度,1600~2600℃)。具体的にはシリカとPVA高分子水溶液中の分散、凝集、吸着状態、更には乾燥、焼結過程を観察し、メソポーラス構造の形成と低温焼結性の相関を解明することを目的とする。所望のナノ構造組織を得るためには、シリカナノ粒子のPVA水溶液中の分散・凝集状態を制御することが重要である。シリカ粒子表面に存在するSi-OH基は溶液のpHによって表面状態し、それがシリカ粒子とOH基を有するPVAの間にはたらく水素結合強度に影響を与える。さらに水素結合強度によって、シリカ粒子に対するPVAの吸着量が変化し、生成するナノコンポジット組織のシリカ粒子とPVAの分散・凝集状態に影響を与える。しかしながら、これらの実験的検証は進められていないのが現状である。 本年度はフュームドシリカナノ粒子(一次粒子径7 nm~500 nm)、PVA(重合度500~3000, けん化度70~100%)、を所定の組成比で混合・攪拌し、水溶液中のpH、組成比、ナノ粒子、PVAの種類の組み合わせならびに作製条件を変えてシリカ/PVAナノコンポジットを作製した。その結果、以下のことが明らかとなった。1)水溶液中のシリカ粒子の凝集度(サイズ)、ゼータ電位を測定した結果、pHを酸性側へ減少させると、シリカ粒子の凝集度(サイズ)は数百ナノメートルのオーダーで凝集した。2)水溶液中のシリカナノ粒子表面に吸着した炭素量を全有機体炭素計により測定した結果、シリカ表面へのPVA吸着量は0.4-0.8 mg/m2であった。次年度では細孔径、比表面積を実測し、メソポーラス構造のならびに焼結挙動について研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的としているシリカナノ粒子のPVA水溶液中の分散・凝集状態ならびにシリカ粒子に対するPVAの吸着量の実測に成功しているため、順調に計画は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、各種条件で得られたナノコンポジットの細孔径、比表面積は、現有の細孔分布測定装置を用いて行う。SiO2/PVAナノコンポジットのメソポーラス構造とナノ粒子の凝集度、表面電位ならびに、PVAの吸着量に関するpH,粒子径、PVA重合度、けん化度依存性を明らかにしていく。ナノコンポジット材料中に希土類や遷移金属イオンをドープすることで機能性シリガラスの調製方法とその物性評価も進めていく。
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