研究課題
本研究は、経済協力開発機構(OECD)パリ本部が推進する核廃棄物管理のための地球化学シミュレーション電算機データバンクに登録するモリブデン関連物質の熱力学諸量を決定し、データブックとして刊行するために実施する。最終年度、前年度までに実測したカチオンが正2価のSrMoO4(cr)およびBaMoO4(cr)の熱容量を最新のデバイ-アインシュタイン関数を用いて再評価し、第3法則エントロピ-を最終決定した。これらの最終決定値とこれまで最終決定したCaMoO4(cr)およびAg2MoO4(cr)の熱力学諸量とを、水溶液を包括する熱力学サイクルに適用し、負2価のモリブデン酸イオン(MoO4 2-(aq))の熱力学諸量を最終決定した。ガラス固化体中に生成する結晶相イエロ-フェ-ズの熱力学データベースを完備するため、カチオンがそれぞれ正2価、正3価および正4価のMgMoO4、Ce2(MoO4)3およびZrMo2O8(cr)の熱容量を2-300 Kにおいて測定し、最新のデバイ-アインシュタイン関数を用いて評価し、第3法則エントロピ-を決定した。これらの第3法則エントロピーに所定の熱力学サイクルを適用し、標準生成ギブズエネルギ-を決定した。得られた標準生成ギブズエネルギ-に基づき、MgMoO4、Ce2(MoO4)3およびZrMo2O8の相安定性を、これまで決定したアルカリ金属モリブデン複酸化物(MMoO4(M=Ca、Sr、Ba)、遷移金属モリブデン複酸化物(FeMoO4、NiMoO4、Ag2MoO4)、希土類金属モリブデン複酸化物(RE2(MoO4)3(RE=La、Nd、Sm ))と比較した。MgMoO4、Ce2(MoO4)3およびZrMo2O8(cr)の標準溶解ギブズエネルギ-を、最終決定したMoO4 2-(aq)のそれに基づき決定し、地下水への溶出し易さを比較した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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