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2016 年度 実績報告書

消失模型鋳造における熱分解ガス層内の動的平衡と熱分解生成物の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26420760
研究機関関西大学

研究代表者

丸山 徹  関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80330174)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード消失模型鋳造 / 熱分解 / ポリスチレン / 湯流れ
研究実績の概要

湯流れ速度が遅くなるメカニズムと発泡模型の熱分解と湯流れの動的平衡を明らかにするために、鋳造中の熱分解液化樹脂を溶湯充填初期、中期、末期に分けて行った。さらに、鋳造温度を変化させて発生する熱分解液化樹脂の種類・量と動的平衡との関係を調査した。
溶湯温度の高い鋳鉄の鋳造実験の結果、熱分解液化物はスチレンモノマ、ベンゼンが多く、トルエンも検出された。捕集された液化樹脂の量は溶湯充填末期で最も多い結果が得られた。このことから発泡模型の分解はスチレンモノマが主体であるが、モノマの部分分解が生ずることが明らかになった。また、熱分解炭素の生成も多かったことからベンゼンが炭化した熱分解炭素が生成していることが示唆された。
液化樹脂の量が少ない銅合金の鋳造実験の結果、熱分解液化物はスチレンモノマとベンゼンでほぼ100%を占めた。熱分解炭素は認められず、炭化までは進んでいないことが明らかになった。したがって、鋳造中の分解物の大半はガスであることが明らかとなった。
溶湯温度の高い鋳鉄では、ベンゼンやトルエンの生成量が比較的多く、ラジカル化したベンゼン環が生成したと考えられる。したがって、溶湯充填初期の動的平衡はスチレンモノマの生成とモノマガスの系外への排出する平衡状態であることが知られた。そして溶湯の充填が進むにつれてのラジカル化した物質の影響で液化物と炭化が進み動的平衡は液化物増加の方向に移動し、溶湯充填末期に多量の熱分解液化樹脂が残ることが明らかになった。
また、充填初期では、ラジカル化した物質により分解物の大量発生が生じることが明らかになり、このことが初期の充填速度を低下させていることが明らかとなった。
したがって、溶湯充填初期の爆発的な熱分解の現象を明らかにすることで本法のシミュレーション技術の開発が可能になることが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Effect of coating thickness on the molten metal filling rate of cast iron in the evaporative pattern casting process2017

    • 著者名/発表者名
      Toru Maruyama, Gou Nakamura, Mitsuyoshi Tamaki and Keisuke Nakamura
    • 雑誌名

      Internationaljournal of Metalcasting

      巻: 11 ページ: 77-83

    • DOI

      10.1007/s40962-016-0108-5

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 消失模型鋳造の溶湯充填初期における湯流れ速度低下と熱分解液化成分及びガス圧の関係2016

    • 著者名/発表者名
      下薄拓実、中村啓介、丸山徹
    • 学会等名
      日本鋳造工学会 第168回全国講演大会
    • 発表場所
      高知市文化プラザ(高知市)
    • 年月日
      2016-09-25 – 2016-09-25
  • [学会発表] Effect of coating thickness on Melt Filling Rate of Cast Iron in Evaporative Pattern Casting Process2016

    • 著者名/発表者名
      Toru Maruyama, Gou Nakamura, Mitsuyoshi Tamaki and Keisuke Nakamura
    • 学会等名
      The 72nd World Foundry Congress
    • 発表場所
      ポートメッセなごや(名古屋市)
    • 年月日
      2016-05-23 – 2016-05-23
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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