研究課題
大気中に浮遊する微粒子は最終的に地表や植物系等に沈着する。中でも平均径が0.1~1μm(サブミクロン)の微粒子は、数千キロメートルにわたって輸送され、環境中の基板(植物等)表面に最も高い数濃度で沈着することが報告されているが、その沈着の機構は明らかでない。本研究では、気中の微粒子の基板への沈着機構の解明に向けて、「動的」な微粒子の輸送ならびに沈着過程に加え、「静的」な沈着である基板の性状と粒子の付着状態にも着目している。平成26年度においては、特にモデル微粒子の生成・輸送と計測について検討を行った。モデル微粒子を基板へ輸送・沈着させるために、新たに液滴―粒子転換(噴霧)手法を開発した。気相中に数10 から1000 nm(1 μm) の範囲での微粒子の生成が制御できるように粒子発生システムの最適化を行った。浮遊する微粒子に対して、必要に応じて帯電させた。粒子の沈着に関して、主に次のことが明らかになった。(1)基板のオモテとウラの面にサブミクロン粒子が付着している現象を確認し、その粒子が沈着した分布の「マッピング」を行った。(2)金属の基板の表面上に疎水性と親水性の部分を任意的に形成させ、その「親水」と「疎水」のパターンに従い、微粒子の沈着挙動が異なることを確認した。(3)植物の表面とその気孔を模擬する目的で、金属基板に凸凹をもつ「井戸型基板」の形成を行い、帯電微粒子を沈着させたところ、約1μmの粒子が「井戸」の中に導入できることを確認した。
1: 当初の計画以上に進展している
平成26年には主にモデル微粒子を気中に浮遊させるシステムと目的の基板(表面)の調製を行ったが、平成27年に予定していた微粒子を沈着させた実験も行うことができて、基礎的なデータを把握できた。
平成26年には主にモデル微粒子を気中に浮遊させるシステムと粒子計測装置の構築の他にターゲットとなる基板表面の設計を行った。平成27年には主に微粒子沈着の実験も行っていく予定である。・熱流体計算ソフトを駆使し、最も高い沈着効率を有する粒子輸送システムを予測する。・実環境中の微粒子を回収する。そのために表面加工・処理した様々な基板を粒子捕集器として用いるが、特に難しいとされているサブミクロンの粒子のために新たな「粒子捕集システム」を提案する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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