研究課題
大気中の浮遊する微粒子は最終的に地表や植物系等に沈着する。中でも平均径が0.1~1μm(サブミクロン)の微粒子は、数千㎞にわたって輸送され、環境中の基板(植物等)表面に最も高い数濃度で沈着することが報告されているが、その沈着の機構は明らかでない。本研究では、気中の微粒子の基板への沈着機構の解明に向けて、「動的」な微粒子の輸送ならびに沈着過程に加え、「静的」な沈着である基板の性状と粒子の付着状態にも着目している。平成27年度では、複数のアプローチにより実環境(大気中)のサブミクロン帯電微粒子の存在が確認できた。【実験室内】(1)帯電微粒子を基板に沈着するモデル微粒子として使用し、生成・輸送された微粒子の個数濃度をリアルタイムで計測できた。(2)捕集基板側に任意の性状を施した場合の沈着挙動を把握した。【野外実験】(1)捕集するための複数タイプの捕集器を新たに設計した。より実環境に近づけるために、ポンプを用いないパッシブ型捕集器の製作を行った。(2)東京農工大の小金井キャンパス(東京都小金井市)、大学の実験森林施設(八王子市)およびマレーシアの2カ所(マレー半島とボルネオ島北部)での捕集実験を行った。現在はそのデータ解析を行っている。【植物表面での実験】研究室で設計・製作した微粒子の噴霧器を用いて、実際の植物葉表面に微粒子の散布を行うことができた。植物葉表面にサブミクロン微粒子の沈着が確認できて、現在は関連データの解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
(実環境中)大気中の浮遊する微粒子を目的の基板(捕集装置)または植物系等に沈着させるために、捕集器の設計と製作を行うことができており、日本のみならず、マレーシア(マレー半島とボルネオ島北部)においても実環境のサブミクロン粒子の捕集も行うことができた。
最終的目標としては、大気中(実環境)の浮遊する微粒子を目的の基板または植物系等に沈着させ、その微粒子の動的な挙動を予測する。【野外実験】既に、東京農工大の小金井キャンパス(東京都小金井市)、同大学の実験森林施設(八王子市)およびマレーシアの2カ所(マレー半島とボルネオ島北部)での捕集実験を行っており、今後数カ月をかけて、データ解析と数値計算も考慮した考察を行い投稿論文としてまとめる。【植物表面での実験】研究室で設計・製作した微粒子の噴霧器を用いて、実際の植物葉表面に微粒子の散布を行うことがすでにできたいる。今後、データ解析と考察を行って投稿論文としてまとめる。
H27年度に実施した、複数の現場(東京都とマレーシア・ボルネオ島北部)から微粒子の捕集に対して、今後多量のデータ解析と精密な分析が必用であり、分析作業をH28年度に行うことにしたためである。
主に消耗品の購入、成果を発表する論文執筆および学会発表にあてる予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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巻: 5 ページ: 5158-5163
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https://empatlab.wordpress.com/