研究課題/領域番号 |
26420761
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
レンゴロ ウレット 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10304403)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エアロゾル / ナノ粒子 / 付着 / 輸送 / 基板 / 集積 / 移動現象 / 表面改質 |
研究実績の概要 |
大気中の浮遊する微粒子は最終的に地表や植物系等に沈着する。中でも平均径が0.1~1μm(サブミクロン)の微粒子は、数千㎞にわたって輸送され、環境中の基板(植物等)表面に最も高い数濃度で沈着することが報告されているが、その沈着の機構は明らかでない。 本研究では、気中の微粒子の基板への沈着機構の解明に向けて、「動的」な微粒子の輸送ならびに沈着過程に加え、「静的」な沈着である基板の性状と粒子の付着状態にも着目している。平成28年度では、目的の基板である植物(葉)対して、モデル微粒子を沈着させて、主に顕微鏡で観察を行った。輸送された微粒子の個数濃度をリアルタイムの計測も行った。 ワックスなどの疎水性の物質が植物の表面に存在しているが、その役割が明確にされていない。本研究で葉表面上のワックスの個数分布と沈着された微粒子の分布を比較した。結果的に、気孔(数ミクロン以上の穴)のまわりに多くのワックスが存在する場合、微粒子の沈着が少ないことがわかった。ワックスの存在が葉の気孔を大気(汚染)物質から守る役割をもつ可能性が見出された。 一方、実大気環境中の微粒子を捕集するための捕集器を設計し、主に植物をモデル化したパッシブ型捕集器の製作を行った。東京都(小金井市、八王子市)だけではなくマレーシア(マレー半島とボルネオ島北部)での捕集実験を行った。現在もデータ解析を行っている。 本研究で開発された帯電微粒子の発生装置(技術)は、他の有機物材料にも適用できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気中(実環境)の浮遊する微粒子を目的の基板または植物系等に沈着させ、その微粒子の動的な挙動を確認した。例えば、植物の葉表面上に存在する疎水性の物質(ワックス)の役割は、本研究である程度明らかにできた。一方、植物表面をモデル化したパッシブ型サンプラー(微粒子捕集器)の製作および実環境の野外捕集を終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
複数の現場(東京都(小金井キャンパス、八王子市実験施設)とマレーシア(マレー半島の工業地帯、首都、ボルネオ島北部)から多量の微粒子の捕集データを得たが、その精密な解析(組成分析など)を行っていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度に配偶者が第2子、第3子となる双子を出産し、育児休業を含め2016年8月から10月まで休暇を取得したため、最終年度の計画を予定通り遂行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
各地から得られた多量のデータの解析(組成分析など)および論文投稿に使用する予定である。
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