研究課題/領域番号 |
26420772
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研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
永野 孝幸 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (70450848)
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研究分担者 |
佐藤 功二 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, その他 (20552590)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シリカ / アルミナ / 多孔質 / 圧力 / 水素 / 窒素 / CVD |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度、構築した圧力精密制御型対向拡散CVD装置を用いて、膜合成時における円筒型α―アルミナ多孔質基材内外の差圧と膜特性の関係について、基礎的な検討を行った。チャンバーの出口側に設置した流量制御バルブで原料供給側(円筒基材外側)の圧力を反応ガス側(円筒基材内側)より高くすることで、メソポーラス中間層内への原料ガスの供給が促進されることを成膜後のガス分離特性から確認した。しかしながら、更に差圧が増加すると反応ガスである酸素が中間層内へ供給されにくくなって、結果的に中間層内で膜を合成することが難しくなり、水素選択透過性の高いサンプルは得られなくなった。メソポーラス中間層内で原料ガスと反応ガスを衝突させて、細孔内で膜を合成するための最適な差圧範囲は10kPa以下であった。 差圧制御に加え、メソポーラス中間層の膜厚増加、中間層細孔径分布の最適化、シリコン原料ガスの選定、成膜条件の最適化を同時に駆使することにより、水素透過率14%向上、水素/窒素選択透過性を15.9倍と大幅に向上させることに成功した。 しかしながら、これらのガス分離特性は基材表面の平滑性に依存し、ピンホールや欠陥が存在する場合、水素透過率にはほとんど影響がないものの、窒素透過率が著しく上昇することによる水素選択透過性の大幅な減少(1/10程度)につながることが分かった。 これは基材の製造プロセスにおける問題であり、品質管理が重要であるとともに後工程でこの問題を解決するための手法を考案ことが重要であると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アルミナ多孔質基材は材料メーカーからの供給に頼っており、成膜プロセス(表面欠陥)の改善をお願いしているが、時間を要するため。
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今後の研究の推進方策 |
基材メーカーとは別途、独自技術による基材表面の改良に取りかかる。
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