アモルファスシリカ系ガス分離膜は多孔質支持基材、メソポーラス中間層、サブナノオーダー分離活性層で構成され、膜全体をトータルで最適化しなければ、透過率及び選択透過性を同時に両立することは困難である。 本研究ではガス透過特性と成膜条件、細孔構造の関係について検討した。基材は直径φ3mm、長さ400mm、細孔径150nmのα―アルミナ多孔質基材を使用した。基材の両端部はガラスシールを施し、基材中央部5cmはゾル―ゲル法でγ―アルミナを1~2回コートし、大気中、600~800℃で焼成して、メソポーラス中間層とした。分離活性層は対向拡散CVD法を用いて、600~625℃ 60~80分間の条件で成膜した。原料ガスはテトラメトキシシラン(TMOS)、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)、反応ガスは酸素を用いた。ガス透過率はHe、H2、CO2、Ar、N2、SF6を用いた。 原料ガスとしてTMOSを用いた場合、中間層の膜厚、平均細孔径の増加とともに二酸化炭素より大きな分子径のガス透過率が減少する一方、アモルファスネットワーク内を透過できる分子径の小さなHeやH2は中間層の平均細孔径の増加により、透過率が低下した。原料ガスとしてPTMSを用いて、基材の外側、内側の圧力差を精密制御した場合、原料側の圧力を最適条件で高くすると最も高いH2透過率及び、H2/SF6選択性を示した。 これらの実験結果から、ガス選択性を向上させるためには原料ガスがメソポーラス中間層に確実に供給され、且つ反応ガスが中間層内で衝突し、細孔内に成膜されるように合成条件を最適化することが重要であると考えられた。
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