研究課題/領域番号 |
26420773
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研究機関 | 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 |
研究代表者 |
山田 秀尚 公益財団法人地球環境産業技術研究機構, その他部局等, 主任研究員 (60446408)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アミン / 気液界面反応 / 極限的反応座標 / 酸解離定数 / 二酸化炭素 / 比誘電率 / 溶媒和 / 連続誘電体モデル |
研究実績の概要 |
本研究課題は、バルク溶液と気液界面との反応場としての違いに着目し、CO2分離回収用材料として知られるアミン系塩基性溶液の反応を対象に、アミンの分子構造が溶媒和構造や界面挙動に及ぼす影響および因子を解明することを目的とする。初年度にあたる本年度は、アミンのプロトン化反応およびCO2とのN-C結合形成反応を、反応場に応じた量子化学計算手法を用いてモデル化した。塩基として、モノエタノールアミン、トリメチルアミン、グリシンアニオンなどのアミン種を選定し、これらに関する対象反応の実測値を用いて、モデルを検証した。また、反応場を表す指標として比誘電率に着目し、同軸プローブ法による誘電率測定を実施した。それらの結果、いくつかの計算モデルによって、アミン系塩基性溶液の反応について、反応場の特性に応じた解析が可能となった。例えば、比誘電率をパラメータとして連続誘電体近似を行うことで、各反応場におけるアミン種の塩基としての反応性を精度良く記述できることが示された。さらに、アミン種(ルイス塩)とCO2(ルイス酸)との反応に対する遷移状態を含めた反応解析においては、これまでの知見とは異なり、反応場の比誘電率が変わっても活性化エネルギーや反応エンタルピーへの影響が少ないようなアミン分子の構造が見出されている。また、(1)バルク溶液と気液界面に対する分配の傾向、(2)バルク溶液の比誘電率、(3)酸解離定数などに関して、アミン分子構造との相関を与えるデータについても、予定通りに蓄積している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子化学計算手法に基づく計算解析を、実験データを用いた検証と並行して、計画に沿うように進めている。その結果、本研究課題の目的である、「CO2とアミンとの化学反応機構の包括的な理解」に向け、適した計算モデルおよび諸々の実験データを順調に得ている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、検討対象アミン種を変えて、置換基効果を精査する。また、CO2とアミンとの反応に対する機構解析をより詳細に行う。さらに、対象とする反応の拡張(プロトンやCO2以外との反応)も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況を考慮して当初予定していたソフトウェアの導入を再検討した結果、それよりもハードウェアの能力を高めることが効率的と判断したため、当該ソフトウェアの導入を見送り、その分のハードウェア環境の整備に使用した。おおよそ、その差額が次年度使用額に相当する。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り計算対象を拡張する予定であるが、研究進捗状況を考慮すると、さらなる計算処理能力の向上が望まれる。よって、当初の助成金使用計画に沿いつつ、前年度の残金相当分をハードウェア環境の整備費にあてる。
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