研究課題/領域番号 |
26420774
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荻野 勲 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60625581)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 化学工学 / 触媒・化学プロセス / 反応・分離 / 環境技術 / 環境材料 / セラミックス / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
①新規層剥離法を用いて作製した酸化グラフェンからPt/C触媒合成:前年度,酸化グラファイトの新規層剥離法について詳細検討行った。今年度は,この方法使って作製した酸化グラフェンを用いsub-nmサイズのPt微粒子が高分散に担持されたPt/C触媒の合成を行った。特に,Pt錯体/酸化グラフェン混合物の還元処理工程において急速昇温を行うことで,グラフェンシートの再凝集を抑制しながらPt超微粒子を高分散に担持することが可能であることを見出した。今後,ニトロフェノールやオレフィンの水素化反応などを用いて触媒評価を行って行く予定である。 ②Mg/Al系複水酸化物ナノシートから,ナノファイバー状材料の合成:Mg/Al系複水酸化物ナノシート分散水溶液を非常に高い倍率で希釈し,これを迅速に凍結させ,さらに凍結乾燥することで,径数百nm,長さ数十μmのナノファイバー状物質を得ることに成功した。また,この材料を焼成して得られる複合酸化物がベンズアルデヒドとシアノ酢酸エチルのKnoevenagel縮合反応において,ナノファイバー形状を有していないMg/Al複合酸化物よりも高い活性を発現することを示した。今後CO2吸着分離剤への応用について検討予定である。 ③混合溶媒を用いたゼオライト層状前駆体の層剥離法開発:ゼオライト層状前駆体の層剥離には,一般に多量の界面活性剤が使用され,また過酷な条件が必要であるという課題がある。この課題を克服するため,ジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶媒中で,ゼオライト層状前駆体の一種であるITQ-1と呼ばれる材料を加熱処理し,得られた材料をハイスピードミキサーで処理することにより効率的に層剥離を行えることを見出した。また,本結果について国際学会で口頭発表を行った。今後,得られた材料から触媒を合成し,さらに触媒反応評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
酸化グラフェン関連の検討に加え,本年度は,計画通りゼオライト層状前駆体の新しい層剥離法の提案を行えた。これらに加えMg/Al系複水酸化物ナノシートの再構築によるナノファイバー状物質の合成にも成功した。このことから,当初の計画以上に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終ステージとなる平成28年度は,技術の応用展開について検討する予定である。酸化グラフェンから独自の方法によって得られるPt/C触媒の水素化反応や電気化学反応への応用,ナノファイバー状Mg/Al複合酸化物のCO2吸着分離剤としての利用,独自の方法によって得られたゼオライトナノシートの触媒担体への利用を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
29,667円の次年度使用額が生じているが,これは当初予定していた実験を変更したこと伴って購入予定であったオートクレーブ用テフロン内筒の購入を延期したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度購入を延期したオートレレーブ用テフロン内筒の購入に使用する。
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