研究実績の概要 |
本年度はまず流通系反応器を構築し,2.0 mM硝酸セリウム水溶液と精製水を原料として粒子合成条件を亜臨界から超臨界領域で変化させた.精製水はヒーターにより設定温度まで急速昇温され, 1/16 inch用T字形継ぎ手部分で混合される.反応炉を通過後, 混合後溶液を冷却器で急冷することで反応を終了させた.なお,系内は背圧弁により30 MPaに設定した.ここで, ポンプによる供給流量をポンプ1 : ポンプ2 = 3.1 : 8.5, 5.6 : 15.4, 8.0 : 22.0 mL/min, 反応温度を340, 360, 380℃となるように変化させることで,それぞれの条件が生成粒子におよぼす影響を検討した.生成粒子の観察には透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた.また,反応溶液中の未反応イオン濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)により評価した. 反応温度380℃で合成した粒子の平均粒径は340℃で合成したものに比べて微小化していた.また,反応温度が高くなると粒径分布は狭くなった.流量を増やした場合も,粒子径が小さくなり分布は狭くなった.ICPを用いて反応溶液中の未反応イオン濃度を測定したところ,多くの条件で反応率は100%近くに到達しており,反応が混合部近傍で急速に完了することが示唆された. Re数による平均粒径・変動係数の変化も確認し,Re数増大とともに平均粒径は小さくなった.また,生成粒子の変動係数は各反応温度においてRe数増大とともに減少傾向にあった.この結果は,混合速度の指標であるRe数と反応速度を支配する反応温度が粒子径,その変動係数を大きく支配することを示している.
|