昨年度よりも定量的に混合性能を定量的に評価するために,T字型混合器内の流動状態の把握,および混合状態を表す指標k_mixの算出のため,Fluent 16.2 (Ansys Inc.)を用いてCFDシミュレーションを行った。 流路の総メッシュ数は200000とした。乱流モデルには,Fluentに用意されている標準k-εモデルを使用した。圧力と速度のカップリングにはSIMPLE法を,離散化スキームには2次精度中心差分を用いた。流体の物性は,30 MPaにおける水の値と仮定した。壁面からの伝熱は考慮せず,流路の外側は断熱条件とした。原料溶液の温度は25℃とし,混合溶液が所定の反応温度になるよう予熱水の温度を決定した。反応器流路断面における予熱水質量分率の変動係数が10%以下になった地点を混合終了地点とした。 反応器入口からのこの地点までの距離をlとし,混合状態を表す指標としてレイノルズ数とk_mix [1/s](= u/l)を計算した(反応流体混合部内の流速をuとする)。反応律速時の真の反応速度k_realとこの混合速度k_mixの比であるダムケラー数Da = k_real/k_mixで昨年度までの実験結果を整理したところ,セリア粒子の合成ではDa < 0.1の範囲では,各反応温度において流速によらず平均粒径は一定となった。したがって,混合が速い,つまりk_mixが大きく,Da < 0.1となる条件を設定することで反応律速条件での粒子合成が可能であることが明らかとなった。 この条件は昨年の混合速度の概算値(流速を流路径で割ったもの)での推算時と同一であり,概算値でも反応律速条件の推定ができることも示された。
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