| 研究課題/領域番号 |
26420784
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| 研究機関 | 千葉大学 |
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研究代表者 |
一國 伸之 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40261937)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | ナノクラスター / 酸化ニッケル触媒 / 酸化鉄触媒 / コロイド / XAFS / PVP保護基 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は，コバルト，ニッケル，鉄などの卑金属元素のナノクラスターをシリカ等の高比表面積担体上に安定保持し，ナノクラスター由来の新たな触媒作用の発現，ならびにそのサイズ依存性に関する知見を得ることを目的としている。
1. 保護基を用いずに酸化ニッケルナノクラスターをシリカ担体上に構築し，X線吸収スペクトルを用いてその組成，サイズに関する知見を得た。その結果，担体上でのNiOのサイズが小さい程，1-フェニルエタノールの酸化反応，チオフェノールの酸化的カップリング反応に高い活性を示すことを見出した。このとき，担体との界面にニッケルシリケートが共存することがXAFS解析より明らかになり，このニッケルシリケートとNiOナノクラスターのシナジー効果により活性が発現することを明らかにした。
2. Polyvinylpyrrolidone(PVP)を保護基としたニッケルナノクラスター(Ni-NC)をシリカ担体上に構築し，保護基の脱離挙動とNi-NCのサイズについて検討したところ，Ni-NCから外れ，シリカ担体上に残ったPVP基もNi-NCの熱処理時の凝集抑制効果を有することが見出された。
3. PVPを保護基とした酸化鉄ナノクラスター(FeOx-NC)をシリカ担体上に構築し，ベンジルアルコールの酸化反応に応用したところ，FeOx-NCは通常の調製法で得られる担持鉄触媒よりも高い触媒活性を示すことが見出された。XAFS解析から担体上にはナノサイズのFe(III)が担持されていることを明らかにした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究予定は，液相触媒反応の探索ならびに，ニッケル以外の鉄，コバルトなどのナノクラスター設計であった。
ニッケルナノクラスター，酸化ニッケルナノクラスターの構築以外に，酸化鉄ナノクラスターの構築も行っており，またチオフェノールカップリング反応以外に，アルコール類の液相酸化反応へと応用させ，触媒活性のクラスターサイズ依存性を徐々に見出しつつある。
一方で，メソ細孔シリカ担体内に，ナノクラスターをダイレクトに固定するという計画については，ニッケル等の卑金属では達成できていない。ただ，ニオブ，モリブデンなどの前遷移金属を使うことでメソ細孔担体内に高分散活性種の構築に成功している。全体としては，ほぼ順調に進展していると評価して良い。
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| 今後の研究の推進方策 |
本申請課題では，鉄，コバルト，ニッケルなどの卑金属元素をナノサイズのクラスターとして精密設計し，担体上に安定に固定化することで液相触媒反応などの実用化へと近づけるものである。そのために，ナノクラスターのサイズのみならず，価数制御などの精密設計および解析を精力的に進めていく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
前年度から325,795円の直接経費が繰り越されたこと，また当初予定より物品費が少なくて済んだため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
上記理由により，直接経費のうち344,152円が次年度使用額が生じた。これを物品費，旅費として含め，当初予定通りの使用計画とする。特に，PF以外でのXAFS測定も予定しており，そのための旅費，実験費用を増額する必要がある。
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