天然抗体は抗原結合部位を二つ有するため、avidity効果より、抗体のFab断片より抗原結合能が強い。本年度はより天然抗体に近い検出素子を作成するために、Fabにタンパク質WA20及びその安定化変異体SUWA20をFabに融合した。具体的にWA20或いはSUWA20遺伝子を含んだプラスミドをテンプレートにPCRを行い、WA20或いはSUWA20遺伝子を増幅した。そのあと、それら遺伝子をFab軽鎖遺伝子の3’末端に繋ぎ、Fab二量体化用ベクターを作成した。さらにOverlap PCRにより2個のWA20或いはSUWA20遺伝子を連結してから、Fab遺伝子と繋ぎ、四量体化Fab断片調製用ベクターの構築にも成功した。これらのベクターを用いて、SHuffle T7 lysY大腸菌株を形質転換して、目的タンパク質の発現に成功した。本研究では、インフルエンザウイルス抗体FI6v3を用いて、インフルエンザウイルス検出用Quenchbodyの調製に成功した。本Quenchbodyを用いて、A/Aichi/2/68(H3N2)及びA/Puerto Rico/8/34(H1N1;PR8)の検出にも成功した。研究代表者の異動により、臨床サンプルを用いた検証までには至っていないが、インフルエンザウイルスの簡便迅速高感度の検出に貢献できたと思われる。
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