研究課題
本研究ではこれまでに、本邦の小児科における罹患率の高い代表的な遺伝性肝疾患であるヘモクロマトーシス、ポルフィリン症、糖原病、アミノ酸代謝異常症、尿素サイクル代謝異常症、体質性黄疸、線維性嚢胞性肝疾患、ウィルソン病の原因遺伝子をノックアウトまたは変異を起こさせるようなCRISPR-Cas9システムのバキュロウイルスベクターのコンストラクトを作製した。具体的には代謝酵素の欠損により引き起こされる尿素サイクル異常症や体質性黄疸はそれぞれ原因遺伝子をノックアウトするコンストラクトを作製した。また、遺伝子の変異によって引き起こされるようなヘモクロマトーシス、ポルフィリン症、糖原病、アミノ酸代謝異常症、ウィルソン病は、変異が起こる部位をノックアウトするコンストラクトと変異を導入するようなドナーコンストラクトの2種類を作製した。作製したコンストラクトをHEK293細胞にトランスフェクションし、培養上清中に産生されたバキュロウイルス粒子を回収し、増幅する。得られたバキュロウイルス粒子を含む培養上清の希釈系列を作製しHepG2細胞、Huh7細胞等の細胞株に添加してバキュロウイルス感染価を求めた。細胞に感染させると著しく細胞の増殖が低下するものが多くみられベクターの改良が必要であると考えられた。
3: やや遅れている
ヘモクロマトーシス、ポルフィリン症、糖原病、アミノ酸代謝異常症、尿素サイクル代謝異常症、体質性黄疸、線維性嚢胞性肝疾患、ウィルソン病の原因遺伝子をノックアウトまたは変異を起こさせるようなCRISPR-Cas9システムのバキュロウイルスベクターのコンストラクトを作製した。in vitroの実験では、細胞増殖を低下させるコンストラクトがあり改良を試みた。最新のゲノム編集技術を用いた研究論文を参考にさらに良いモデル作製方法を検討中であるため。
平成28年度は、2014年にCell (Platt et al)に報告された方法を参考にして、臓器特異的に特定の遺伝子のノックアウト、ノックインを起こすようなin vivoの系を確立させ疾患モデルを作製し、疾患発症機構の解明を行う。疾患発症機構の解析を行う中で得られた情報から治療薬となり得る分子について創薬に向けた研究を行う。また、分子間の相互作用が疾患の発症に関係する場合にはそれらの分子間相互作用を促進あるいは阻害するような低分子化合物のスクリーニングを行う。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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