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2015 年度 実施状況報告書

ゲノム編集を用いた多重変異体の作出による機能未知配糖体化酵素の生理的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26420798
研究機関大阪府立大学

研究代表者

岡澤 敦司  大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (10294042)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードゲノム編集 / 配糖化酵素 / リグナン / シロイヌナズナ
研究実績の概要

リグナンは植物に特徴的なフェノール性の二次代謝産物であり,その多様な生理活性から産業利用が期待されている.しかし,他の植物二次代謝産物と比較すると,リグナンの代謝については不明な点が多く代謝工学という観点からは情報が不足している.多くの二次代謝産物がそうであるように,リグナンも通常植物の細胞中では配糖体として蓄積している.従って,有用リグナンを代謝工学によって増産するには,リグナン配糖化酵素の制御が必要である.そこで本研究では,モデル植物であるシロイヌナズナ中でリグナンの配糖化に関わる酵素を明らかにすることを目的とする.
申請者らはこれまでにリグナンの配糖化活性をもつ酵素 UGT71C1 をシロイヌナズナ中に見出している.その欠損変異体においてはリグナン量の有意な変化が確認できたが,変化量としては僅かなものであった.この原因として同じサブファミリーに属する UGT71C2 から UGT71C5 の四つの酵素がそれぞれの機能を重複させて働いていることが考えられた.しかし, UGT71C1 および UGT71C2,ならびに,UGT71C3 から UGT71C5 はそれぞれ染色体上で隣接して座位しているため従来の分子遺伝学の手法では,多重変異体を取得することが困難であった.そこで,本研究ではゲノム編集技術を使ってその多重変異体を取得することにした.
UGT71C1 と UGT71C2 の共通配列を認識するように設計した TALENs を組込んだベクターをアグロバクテリウムを介してシロイヌナズナに導入した.得られた形質転換体について PCR により変異の有無を確認した.今後,二重変異体についてリグナンのプロファイリングを行い,UGT71C1 および UGT71C2 の役割を明らかにする予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた UGT71C1 と UGT71C2 の二重変異を有する形質転換体が得られつつある.一方,UGT71C5 について他の研究グループにより,この酵素が乾燥ストレスなどに応答するための植物ホルモンであるアブシジン酸の代謝に関与することが報告されたため,今後作成する UGT71C の多重変異体においてアブシジン酸の測定が必要となった.

今後の研究の推進方策

研究課題開始当初からのゲノム編集技術の進展には目覚しいものがあり,現在では TALENs よりも CRISPR/Cas9 が主流となった.TALENs を用いる場合,ベクターの構築に時間がかかることから,今後,本課題においても CRISPR/Cas9 を用いることを検討する.CRISPR/Cas9 では,複数の遺伝子切断部位用の gRNA を同一ベクター上に載せることが可能という利点も有する.今後,CRIPR/Cas9 も用いながら,UGT71C の多重変異体を網羅的に取得し,リグナンおよび上記で述べたアブシジン酸のプロファイリングを行うことで,これら配糖化酵素の生理的機能を明らかにする.並行して異種発現による酵素機能の解析を行うことで,その基質特異性やカイネティクスについても情報を得る.

次年度使用額が生じた理由

分析機器の故障という不測の事態が生じたため,次年度の予算より 50 万円を前倒し請求したため,多少の残額が生じた.

次年度使用額の使用計画

上記の理由により,トータルとしては物品費の予算が減少したが,研究は概ね順調に進んでいるため,次年度も適正執行につとめて残額は物品費として研究を遂行する.

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公開日: 2017-01-06  

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