これまでに、申請者は、放線菌 S. cinnamoneus TH-2株の金属プロテアーゼ(SCMP)のプロモーターを用いて、種々の放線菌由来酵素の発言に成功してきたが、SCMPプロモーターは、培養後期に発現が盛んになるため、培養時間が長い弱点を有していた。 本研究では、その発現に関わる培地成分、転写因子などを明らかとすることを目的としている。平成26年度は、TH-2株のSCMP発現に与える炭素源の影響を最初に検討した。その結果、グルコースで顕著な活性が認められ、フラクトース、グリセロールでは活性は低かった。リアルタイムPCRでも、同様な結果となった。 その結果を踏まえ、グルコースあるいはグリセロールを炭素源に用い、培養24時間、36時間の時点でRNAを調整し、次世代シーケンサーによるRNA-seq解析を行った。その結果、グルコース炭素源、培養24時間で顕著に発現が上昇している転写因子を17種同定した。 別途、(独)放射線医学総合研究所で開発された網羅的発現解析手法:HiCEP(High coverrage expression profilling)法でも、同様な解析を行い、上記の転写因子以外で、グルコース炭素源、培養24時間で、特異的発現を認める30種以上の遺伝子を同定できた。 また、SCMPプロモーターの必須領域についても、検討を行った。放線菌由来の分泌型ロイシンアミノペプチダーゼをレポーターとして用い、S. lividansを発現宿主に発現に必要な領域を検討したところ、3’側にその領域があることを同定した。
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