研究課題/領域番号 |
26420807
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
斎藤 務 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00302224)
|
研究分担者 |
上羽 正純 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20463705)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 流体力学的推力偏向制御 / Fluidic Thrust Vectoring / FTV |
研究実績の概要 |
本課題研究の目的は,流体力学的推力偏向(Fluidic Thrust Vectoring: 以下略して FTV)法を制御技術と融合させる事により,航空機の姿勢制御を従来方式に比べて有効かつ実用的に実現できる事を示し,無尾翼航空機の研究開発を促進する事であり,数値計算による各種FTV方式の性能予測とその実験検証を行い,さらに開発したFTV機構を小型試験機に搭載して実証飛行試験を行うことである.研究プロジェクト初年度にあたる平成26年度では初期の計画通りFTV機構開発,制御系開発,試験機開発の3項目について研究開発を行い,それぞれに満足すべき成果を収める事ができたので,以下にその詳細を報告する. 1.FTV機構の開発について: 斜め衝撃波の働きに頼らず,亜音速域での効果が期待できるFTV機構として複数のモデル案について数値計算を行った.その結果,エンジン排気の一部を上流でバイパスさせてノズルスロート部に噴出させるものが一番大きなFTV効果を生む事が示された.次にこのFTV機構による排気ノズルを外注製作して,ダクテッドファンエンジンに取り付け可視化実験によりエンジン排気の偏向効果を確認した. 2.制御系の開発について: FTV機構の開発とは独立に,試験飛行に用いる小型模型飛行機の選定を行い,実際の飛行試験を行ってその飛行特性データを収集した.FTV機構と エレベータによるピッチ制御の比較を行うため,実験ごとにできるだけ同じ飛行環境を作る事を目的とした準備実験である.ジャイロを用いる安定飛行装置の導入により,一定の飛行ルートを確保して実験を行うことへの見通しを得る事ができた. 3.試験機開発と試験飛行について: 上記1で述べた可視化実験に用いたFTV装置をベースとして実機に搭載可能なFTV装置の設計及び製作を行った.また,野外飛行実験時に,飛行ルート,速度,高度等各種データを収集するためのシステムを構築して実機に装備してその性能試験を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記概要で述べたとおり,当初の研究開発計画項目は全て達成しており,本研究で考案し開発したFTV装置については,期待通りの偏向角を得る見通しを得る事ができた.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って,平成27年度はFTV機構と制御系を組み込んだ試験機の設計・製作および飛行試験を行う.試験機にはピッチ制御を従来の昇降舵で行う通常モードとFTV機構で行うFTVモードの両方を実装し,FTVモードの特性と限界についてのデータを集積する.両方の飛行モードを持つことで,両者の性能比較を容易に行うことができる.飛行中に2つの飛行モードを切り替え,また,従来より高精度の飛行データを収集するためのシステムを追加する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額 6410円 は,年度間際の消費税の処理ならびに値引きによるものであり,予算はほぼ計画通りに執行された.
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は,実験機の設計製作及び野外実験を行うために必要な物品費,成果報告のための旅費,さらに論文投稿に係る経費に使用を予定している.次年度使用額として生じた6410円はこれらのいずれかの経費の一部として使用する予定である.
|