研究実績の概要 |
本年度は,前年度に引き続き,ロータ直径80mmの層流摩擦ポンプを対象に,回転絞り流路の効果について,より詳細な流れ場の計測を実施した.特に前年度問題となっていた,回転絞り流路導入による効率低下の原因について,詳しく調査した.前年度に原因の候補に挙がっていたケーシング抵抗の増大について,詳細に調べたところ,前年度計測された効率低下をもたらすほどの大きな影響は無いことが確認された.その一方で,ロータディスク及び回転絞り流路の組立精度が,ロータ駆動トルクに大きな影響を及ぼすことが明らかとなり,その組立精度を改善する必要があることが判明した.これらの要因を考慮しつつ,再度実験計測を行ったところ,回転絞り流路の導入がロータ効率低下の原因となる逆流の防止に効果があることなど,その導入の効果を明らかにすることができた. 一方,さらに小型のポンプについては,3Dプリンタでの製造を念頭に,ロータ直径を27mmに定め,これまで試験を行ってきたロータ直径80mmのポンプと無次元設計パラメタを揃えたものを設計した.材質については,3Dプリンタの製造特性を考慮して,アクリル系の光硬化樹脂を選択した.これに伴い,駆動軸部分は金属製とし,樹脂製のディスクを接着によって接合できるよう,設計を工夫した.このロータについて,エアスピンドルを用いて,回転数60,000rpmでの回転試験を行い,強度的に問題ないことを確認し,3Dプリンタでのロータ製造の可能性を示すことができた.しかしながら,3Dプリンタでの製造工程のうち,サポート材除去の際に生じる薄肉円盤構造部分の変形の影響が大きく,ディスク隙間を均一に保つためには,製造工程の改善が必要であることが明らかとなった.
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