研究課題/領域番号 |
26420809
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡井 敬一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00358516)
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研究分担者 |
渡辺 紀徳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10201211)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電動推進 / 航空機分散推進系 / 外周駆動モータ / 構造解析 / 流体解析 / 翼変形 / 固有振動モード |
研究実績の概要 |
将来の旅客機推進系電動化について、ファン駆動モータの高効率化・軽量化を図るために外周駆動形式が提案されている。外周駆動モータの課題としてファン動翼部の流体・構造面での設計制約に着目し、26年度には従来ファン用の2種のファン設計を基準とし外周駆動化した場合の構造解析・流れの空力評価を実施した。対象ファンは、NE2013ファン(直径12cm)と低騒音ファン(基本形)(直径50cm)である。小型ファンの構造解析・流体解析の結果、以下が明らかとなった。 流体解析では、空気力変形より遠心力変形の方が特性に影響を及ぼすことが確認された。翼端部にシェルを加えることで特性が大きく変わることが懸念されたが、元設計に比べた大きな性能低下は見られない。小型ファンで比較的厚みのあるブレード形状のため、不安定現象は運転範囲では見受けられなかった。 構造評価では、定常平均力印加条件で、シェル厚みとフィレット半径の影響を調べた。解析範囲では、最大主応力と変位量を踏まえたシェル厚みとして3mmを設定したが、これはモータの回転コイルを埋設するためには適切な厚みである。非定常の印加力条件の評価では、変位量は最大で2e-5[m]強であり、一体シェルの要件の下では、加振条件であっても変形量は大きくはならない。一方で、変形量は許容範囲ではあるが固有振動モードに近い条件であり、モータ加振条件での固有振動モードも設計制約となる。印加する力の履歴、回転コイルの枚数などが固有振動に係る設計パラメタになる。 50cm級のファンにおける結果はスケールによる違いはあるが定性的には同様の傾向を示していた。不安定現象制御デバイスについては、翼内に配置する基礎検討を下に、外周モータのアシスト形態で実施する方法の検討を実施した。 これらの成果は、コア分離ファンの設計・配置に関する基本的な設計要件を与える資料として参照になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度計画としていた3事項(1)ファン空力形状をもとにした構造解析、(2)CFD解析による定常流れ場解析、(3)空力弾性不安定現象制御デバイスの検討、について計画に従い実施した。当初予定していた事項をそれぞれ実施した。 実大モータとして、当初想定していたファンではなく、詳細な解析データのある低騒音ファン(基本形)を利用可能となり、基準との比較は当初計画より詳細に実施することができた。 構造・流体解析については、同様の解析を小型(12cm直径)、実大(50cm直径)両方に対して実施して整理しており、27年度の研究のための準備も想定通り行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に従って研究を推進していく。 航空用電動推進の研究課題は、米欧を中心にこの数年で急速に検討が活発化しており、異なるシステムを比較する機会に接することが多い。 システムとしての比較評価においても本研究の課題内容は重要であると考えられるため、成果の整理や活用についてはこうした内外の検討状況を踏まえて適切に実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度の流体・構造解析の必要な計算量と27年度に計画される両者を合わせて評価する解析における計算量について、全者が想定したより少なく済むことがわかり、後者に重点化することが適切と判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
26年度に構造単独解析・流体単独解析で得られた成果をもとに外周駆動モータと組み合わせる動翼部の簡易設計を行い、重点的にパラメタを変更させた解析評価を行うことに利用する。代表的な形状についてスケールモデルを製作することで搭載性等の評価を合わせて行う。
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