研究課題/領域番号 |
26420809
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
岡井 敬一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (00358516)
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研究分担者 |
渡辺 紀徳 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10201211)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電動推進 / 航空九分散推進系 / 動翼部の電磁場下の効果 / 固有振動モード / ミスチューニング / 翼変形 |
研究実績の概要 |
本研究では、将来航空推進用外周駆動モータで駆動されるファンの課題として、ファン動翼部の流体・構造・電磁的側面での設計制約に着目し、評価を行っている。 26年度、27年度には、流体力学的制約と構造力学的制約の干渉・連成効果を評価した。この評価を通じて、磁場が翼の電導度異方性により与える影響の差異が新たな課題として見出された。28年度には、26年度・27年度に得られた空気力学的・構造力学的視点の解析結果の整理とともに、電導度異方性のある材料片モデルの磁場下での挙動を解析的に評価した。また、極低温燃料によるモータ部冷却・超電導状態確保に関する評価の一環として、一定推力を与える分散ファンの径・個数と冷却流量分配の可能性について解析的に評価した。 28年度当初計画に従い、外周部の電磁駆動を利用したファン動翼の不安定性抑制の可能性について評価を行った。28年度には、単翼を模擬した形状を作成し、電磁力として、磁石・電磁石を用いた受動的な不安定性の制振効果・周波数シフトの可能性を検証する実験を行った。単翼を模擬したT字板の上部に回転コイルを模擬した金属・磁石を配置し、連続加振器(IMV社i230)を用いた加振によって、翼の固有振動数を実験的に取得した。翼の固有振動数を含む周波数によって加振下における磁石・電磁石による制振・周波数シフト効果を、駆動コイル模擬の磁石・電磁石のT字翼との相対位置を変化させながらデータ取得した。この結果、加振下における電磁力による制振効果・周波数シフト効果を明らかにした。結果の吟味においては、電磁場解析ソフト(JSOL社JMAG)を用いた電磁場解析を行い、実験結果との比較評価をあわせて行った。以上の結果から、外周駆動モータ駆動ファンの、電磁力による制振効果・周波数シフト効果について基礎的観点からの理解を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
28年度中に、電磁力による制振効果・周波数シフト効果の実験研究を一通り完了する当初計画であったが、主担当者の異動による着手遅れのため、研究期間を1年延長し、28年度・29年度の2か年にわたり、当初28年度に予定していた研究を行うこととした。 この計画変更のため、28年度には電磁力の影響を基礎的視点から調べるため、磁石・電磁石(一定磁力)による電磁力印可によって受動的な電磁力の効果を調べることに注力した。その結果を参照にし、29年度にはアクティブ制振・周波数シフトの実験実証を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
28年度計画を前述(進捗方向)のように2分割した。28年度に得られた結果を参照にして、29年度には電磁力による不安定性の抑制効果をアクティブ制振機構の実験により明らかにし、当初計画全体を完了する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に研究主担当者が異動のため業務が多忙となり、当初想定以上に時間を要したため、28年度予定の一部を研究期間1年延長により繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度当初計画の内容を28年度・29年度に延長し再度計画した。当初28年度計画した実験実証を行うために必要な実験部材等購入を中心に計画遂行に向けた使用を計画している。
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