航空機の電動推進用に考案された外周電磁駆動ファンは、軸駆動のファンと構造・流体力学・駆動力の観点で設計上の制約・要求が異なる。こうした観点から、外周駆動形態での動翼構造解析、流路内CFD流れ解析、着力変化の電磁場解析を通じて評価を行い、性能、強度の変化に関する知見を得た。用いたファンのベースライン形状は、JAXAで開発した小型ターボファンエンジンNE2013のファン形状と、JAXAクリーンエンジン技術研究開発で設計試作した直径50㎝のファン形状である。それぞれについて、シュラウド付条件での内部流CFD解析、シュラウド・フィレットを翼端部につけた動翼の構造解析、モータ電磁場解析を実施した。その結果、流体的には、翼端部シュラウド付加に起因する断熱効率・圧力比の視点での性能低下の程度を見積もることに成功した。また、構造的には、シュラウド部の厚さと応力の対応関係が明らかとなった。電磁場解析によって、各運転条件での着力条件を明らかにした。さらに、本形態で課題となる漏れ磁束の回転動翼に与える影響、外周駆動形態の冷却条件を解析によって導いた。 軸力で回転するファンのアシストとして外周駆動方式のモータを適用する場合の、モータの設計解析を行った。その結果、所期のアシスト力を得るモータを設計することは可能であるものの、小型化によるファン高速回転に対応する電磁力印加条件の設定が困難であることがわかった。これにより、本外周駆動モータ形態は、大口径ファンに対して有効であるということが確認された。 また、軸回転駆動のファンの不安定性抑制機構として外周部への電磁力印加形態を考案し単翼模型を用いた機能実証を行った。すなわち、加振機を用いた単翼の加振・制振試験を実施し、電磁力の与え方による制振効果を複数調べ、試験を行った範囲での最適な制振機構を実験ならびに電磁場解析を含む簡易シミュレーションによって選定した。
|