研究課題/領域番号 |
26420814
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菅原 雄介 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60373031)
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研究分担者 |
菊地 聡 岐阜大学, 工学部, 准教授 (40312665)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 特殊航空機 / 地面効果翼機 / エアロトレイン |
研究実績の概要 |
本研究では,地面効果を利用し浮上走行を行う鉄道であるエアロトレインに関して,風洞実験により地面効果域内での揚力や抗力,モーメントをモデル化し,機体の力学モデルを用いたシミュレーションにより翼配置・翼面積・重心位置などの機体の形状パラメータが制御性・安定性に及ぼす影響を考察することにより,機体形状の設計論を構築することを目的としている. この目的に対し本年度は,機体の設計パラメータと安定性の検討,機体設計仕様の検討,地面効果下での空力特性のモデリングを行う計画であった. 本年度の研究実績としては,まず前年度に開発したMapleSim環境での機体の運動モデルを用いて,機体重心位置や前後の浮上翼面積の配分を変化させ, Z方向の外乱に対する縦の挙動を調べた.その結果,これまでに開発されたエアロトレインの構造ではいずれも不安定となる挙動を示し,また重心位置や翼面積配分の変化は安定性にほとんど影響を与えないことが分かった.次に,通常の飛行機においてその動安定を保つのに重要な水平尾翼に着目し,この影響を加えたモデルを用いて挙動を調べたところ,安定性が大きく改善することが分かった. また,地面効果下での空力特性のモデリング精度を高めるために,これまでデータがほとんど無かった負の迎え角時の翼の地面効果特性を風洞実験により計測した.また,補助翼を動かした時に,揚力,抗力が変化するまでの時間遅れを風洞実験により調べた結果,時間遅れが0.03秒以下であることがわかった. さらにこれらの知見に基づき,機体設計仕様の検討を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,機体の設計パラメータと安定性の検討(1),および地面効果下での空力特性のモデリングについては一定のめどが立ち,これらについては順調に進展している.また機体設計仕様の検討も予定通り開始した. ただし機体の設計パラメータと安定性の検討(2)に関しては,若干の遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,機体の設計パラメータと安定性の検討を,横・方向の運動を中心に継続する.また今年度に分かった縦の運動に関する尾翼の効果についてはさらに検討を続ける.また,通常の翼型での動翼を加味した空力特性のモデリングはほぼ終了したので,前後対称翼の地面効果下での空力特性のモデリング,および前後翼間距離と後翼の空力特性の変化の関係を風洞実験により調査を行う.これらは上記の検討で用いる動力学モデルに適宜反映する. またこれらと並行して,これらの知見を総合し,機体設計論の構築を行ってゆく.
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度使用額が当初計画より少なかった理由は以下の通りである. ・実験装置の試作の際,加工を外注せず内製できたものが多かったこと. ・研究打合せの多くをオンラインで実施したが,不都合が生じなかったこと.
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次年度使用額の使用計画 |
28年度はシミュレーション用ソフトウェアの年間保守契約を支払うことでシミュレーションによる検討の効率化を図るほか,実験用機械部品,材料を中心に支出し,実験の充実化を図る.また学会における研究成果発表も積極的に行う.
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