研究課題/領域番号 |
26420815
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
木村 真一 東京理科大学, 理工学部, 教授 (00358920)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 宇宙環境 / 民生部品 / 分離カメラ / シングルイベント / トータルドーズ / FPGA / デジタル無線モジュール |
研究実績の概要 |
高解像度分離カメラを構成する最も重要な要素である、高解像度イメージャー及び超小型デジタル無線通信モジュールについて、調査検討を実施し、活用が効果的と思われる民生用デバイスを複数選定した。候補となるデバイスの放射線耐性試験を実施するための評価ボードを開発すると共に、高解像度イメージャーについては放射線照射条件下での画像データの連続取得を、超小型デジタル無線通信モジュールについては、定型データの連続創出を行うことで、放射線耐性評価を行う試験システムを完成させた。この放射線耐性評価システムを用いて、東京工業大学のコバルト60照射室においてガンマ線を照射することにより、Total Ionizing Doseに帯する耐性評価試験を行った。評価を行ったデバイスについては、何れも低軌道で3年程度の体制が確認されたので、放射線医学総合研究所のサイクロトロンを用いてプロトンを照射することによりSingle Event Effectに対する耐性評価を実施した。その結果、高解像度イメージャーに関しては、3年程度の照射に対してSingle Event Effectは発生せず、十分利用可能であることが確認できた。超小型デジタル無線通信モジュールについては、Single Event Latch Upと思われる現象が複数回発生することがわかった。頻度的には高く無いので、分離カメラのような短期間の利用については、問題になる危険性は低いと思われるが、詳細な解析を進めると共にそのメカニズムについて検討を進めつつある。また、超小型デジタル無線通信モジュールについては次年度さらに数種類のデバイスに対象を広げて、検討を進めることを計画している。ソフトウエア論理合成技術についても、従来用いていたイメージャーとFPGA評価基板を組み合わせることで開発及び評価を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた民生用デバイスの宇宙環境適合性評価については、放射線耐性評価を実施することが出来た。この評価実験を実施するために、民生用の評価基板を開発する過程で、各デバイスを活用する上でのノウハウの蓄積ができ、2年目に予定していたシステム開発の一部を先行的に実施することができた、熱真空環境適合性については、システム構成や小型化した場合の廃熱の影響などもあることから、むしろ、小型化開発を実現した後で実施した方が効果的であると判断し、3年目の総合評価の中で実施することにした。超小型デジタル無線通信モジュールについては、Single Event Latch-Upの危険性が完全には除外できないため、2年目に追加的な評価を実施する計画であるが、実用上危険性は低いので、現状のデバイスをベースとしても開発を進めることができる。以上を総合するとおおむね予定通り実験計画は進行していると判断することができる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目については、1年目でSingle Event Latch-Upの危険性が完全には除外できないという結果になった超小型デジタル無線通信モジュールに関して、追加的な評価実験を実施する。1年目で評価したデバイスでも短期間のしように関しては問題がないと判断でき、かつ、1年目においてシステム開発の一部については先行して実施できているので、小型化設計について、上記の追加的な評価と並行して進める。上記の追加的な評価でより望ましいデバイスが見いだされた場合、小型化設計の中で反映し、より全体として優れた物にする。このように実施することにより、2年目の終了時には問題なく小型化設計まで完了することが見込まれる。熱環境に対する適合性については、システム化を行った上で実施した方が効果的であるため、3年目の総合評価の中で実施することとする。3年目はスケジュール上余裕があるので、熱環境に関する評価を十分吸収することができる。また、熱環境に関する評価を効率的に実施するために、一部の治具について先行的に開発を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
熱環境評価を実施するための治具に使用する部品が、熱環境評価を3年目の総合評価の中で実施するため、今年度の発注を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、総合評価の準備を一部先行して着手するので、そのために必要となる電子部品として活用する。
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