本研究では無線伝送モジュールと高解像度イメージャーを組み合わせることで自由な視点を実現する高解像度分離カメラを構築することを目的としているが、高解像度分離カメラを構成する要素のうち、無線伝送モジュールの選定について懸案となっていたが、2.4Gバンドを活用した高速伝送可能なモジュールに広げることで高解像度分離カメラとして十分な放射線耐性を実現するものを選定し、システム全体の構築を行った。また、無線モジュールでの放射線による不具合についてより詳細に調査するために、無線モジュールのほとんどの部分を遮蔽し、構成部品毎に選択的に放射線照射を行う実験を実施し、放射線による不具合のメカニズムについての調査を実施し、貴重な経験を得ることができた。この知見については研究論文として発表すべく現在準備中である。 また、前年度試作を行っていた超小型低消費電力のカメラモジュールについては、取得画像の解像度に制限がある点が問題となっていた。この問題について、検討を進め、システム構成はほぼそのまま生かし、基板サイズをほぼ保ちながら、取得画像解像度を3倍に拡張する事に成功した。このことにより、1080p相当の高解像度の分離カメラ画像を、56mm×33mmサイズの基板1枚で取得伝送することが可能になった。 また、撮像過程をコントロールするソフトウエアについて衛星搭載計算機との共有化技術を拡充し、シームレスなソフトウエア開発環境を実現する技術を確立し、ソフトウエアの信頼性を向上させることに成功した。 この高解像度分離カメラについて総合的な機能及び環境試験を実施すると共に、その主要な要素について、2017年度打ち上げ予定の複数のミッションにおいて軌道上実証を実現すべく現在準備を進めている。
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