研究課題/領域番号 |
26420832
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研究機関 | 国立研究開発法人 海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
今里 元信 国立研究開発法人 海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (80443240)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 海上監視 / 船舶海洋工学 / 水中音響 / リモートセンシング |
研究実績の概要 |
本研究では,洋上や沿岸域の重要施設等付近を接近航行する船舶を監視するためのシステム開発の一環として,水中音を利用して接近船舶等を検知・識別する手法の開発を行う。そこで船舶の水中音観測および音波伝搬モデルの構築に関する技術開発を行うことを目的に,航行船舶の水中音特性の検出手法(自動化)や算出した検出結果の最適な識別手法の構築(パターン認識など)により,接近船舶が既知船か未知船かを明らかにすることを目指す。さらに時間領域有限差分法などシミュレーションに用いられる音波伝搬モデルの導入により,実海域観測実験と本モデルとの比較・検証を行う。これにより,接近航行船舶の音源が推定でき,水中音特性から船舶の識別が可能になると考えられる。 平成27年度は,船舶の水中音観測に関する情報収集を引き続き行うとともに,前年度に購入したハイドロホンを用いて,航行船舶の水中音観測実験を行った。実験を行うにあたって,共同研究先である国立弓削商船高等専門学校と,弓削島周辺海域における観測場所(海域)の選定について検討し,実験計画を立案の上,計測方法や収集データ項目などについて意見交換を行った。観測実験後,取得した計測データ等は,解析を進めるとともに検討評価を行った。 一方,伝搬モデルの開発において,検討評価できるようにするためには,繰り返し再現可能な,水中スピーカーによる水中放射音観測実験も併せて行い,こちらについても取得した計測データの解析を進めるとともに音源距離と音圧の関係等について検討評価を行った。 また水中音波伝搬モデルの開発の一環として,これまでに音響分野で導入例があることから,前年度に導入を検討した時間領域有限差分法を用いてアルゴリズムの開発を進め,検討評価を行った。 さらに,最終的には安全のための海上監視システムの確立を目的としているため,本システムに関する情報収集も一部行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国立弓削商船高等専門学校と共同研究を実施することにより,実海域における水中音観測実験の実施調整を進めることができ,実験計画の立案や収集したデータの取り扱いなどについて打合せを行った。そのおかげで,水中音観測実験を順調に実施することができ,航行船舶の水中放射音の計測データを収集した。 併せて水中音伝搬モデルの構築の一環として,水中スピーカーによる水中放射音観測実験も行い,観測海域における水中音の距離減衰について,音源距離と音圧の関係から試算できた。 また本研究に関連して,学会発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に実施した,実海域における航行船舶の水中音観測実験での計測方法の検証を行い,これまでの実験方法の改善・改良も踏まえた上で,同じ海域における水中音の観測実験および収集したデータの解析を行う。さらに解析結果のデータを基に船舶水中音の検知・識別のためのアルゴリズムの開発を進める。 また音波伝搬モデル検証用として,水中スピーカーによる水中放射音観測実験も併せて行うとともに,開発中の音波伝搬モデルの検証および改良を行う。さらには開発モデルの海上監視システムへの導入を検討する。 なお,研究が計画どおりに進まない場合,実験方法の変更など,計画の変更を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実海域における水中音観測実験が気象・海象条件に左右されることなく,順調に計測でき,予備日などを使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
可能であればハイドロホン関係の機材を追加購入し,計測点を増やすことを検討する。
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