H28年度は、排ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation、EGR)における排ガス中の組成の影響(ガス分子を構成する原子の数によるEGR効果への影響)をより系統的に調べるため、高速4ストロークディーゼル機関(単気筒、連続最大出力12.0kW、回転数2600rpm)を用いて、吸気側ガス組成をコントロールした実験を行った。吸気には不活性ガスであるアルゴン(1原子分子)、窒素(2原子分子)、二酸化炭素(3原子分子)と、メタン(4原子分子)などをボンベガスで用意し、大気の一部をこれらのガスに置き換えることで、系統的にガス組成をコントロールしたEGR実験を行った。実験では排ガス組成およびブラックカーボンの発生量を計測した。 一方、実際のディーゼルエンジン排ガス中のCO2を分離するために、試作段階のCO2分離膜を使った実験を上記単気筒エンジンの排ガス条件に合わせて、ボンベガスで実験を行い、使用条件などを確認した。CO2分離膜は、SOxや汚損に弱いため、前年度に改良した多孔質構造の脱硫剤とスス除去のためのセラミックフィルタによる前処理が必要となった。このため、エンジンの排圧が上昇してしまうため、強制的に排ガスを引く必要があり、課題として残った。脱硫剤については大量作製のためのプロセスの改善を行い、押し出しによるペレット形状の脱硫剤を作製した。これにより、大きな実機エンジンでの実験も十分行える量を作製することが可能となった。
|