海流予測はウェザールーティングをはじめとした省エネルギー運航に広く利用されており、海流推定の高精度化は省エネ効果を向上させる。既存の海流推定は、衛星観測による海面高度や温度等のデータをもとに海洋動力学モデルを解くことにより行われているが、流速の直接計測ではないことなどの理由で船舶観測データから得られた黒潮流路と一時的に乖離することがある。本研究ではAIS受信データを用いて現在の海流を推定する方法を提案した。船舶の運航データをもとに検証したところ、日本沿岸域全体の推定精度は既存推定手法と同等、特にウェザールーティングが効果的となる黒潮海流流域では推定誤差が既存推定手法より小さかった。
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