研究課題/領域番号 |
26420840
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤井 義明 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70192309)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 有効応力係数 / ピーク応力 / 残留強度 / MFEM / 多段階三軸圧縮試験 |
研究実績の概要 |
ピークおよび残留強度状態における岩石の有効応力係数を求めるため、Failure Envelope Methodを改良したModified Failure Envelope Method (MFEM)を考案し、来待砂岩について適用した。Failure Envelope Methodでは、間隙水圧を作用させない場合について、いくつかの封圧下で岩石の三軸圧縮を行い、モール円上でクーロンの破壊条件を求める。次に、間隙水圧を作用させた状態で三軸圧縮を行い、モール円上に破壊時の応力状態を図示し、図式解法で有効応力係数を求めるものである。 これに対して、MFEMでは、間隙水圧を0に保った状態、間隙水圧を作用させた状態について、いくつかの封圧下で岩石の三軸圧縮を行い、差応力-有効封圧空間にピーク応力、および、残留強度をプロットし、クーロンの破壊条件を仮定することなく、また、図式解法を用いることなく、正確な計算により有効応力係数を求める。 従前の方法により求めたBiotの有効応力係数は、実験した範囲では有効封圧の増加に伴い1から0.8に低下した。ピーク応力における有効応力係数をMFEMで求めたところ、上記の有効応力係数より小さく、通常の方法・多段階三軸圧縮試験を用いた方法ともに、有効応力の増加に伴い0.7から0.4に低下した。結果のばらつきは後者の方が小さかった。三軸圧縮破壊させた供試体について、間隙水圧を保ったまま静水圧縮し、破壊した岩石の有効応力係数を求めたところ、有効封圧とともにわずかに減少しているものの、実質的にはほぼ1であった。MFEMで求めた残留強度状態における有効応力係数は、健全な岩石の弾性範囲における値とピーク応力における値との中間的な値、0.6~0.8であり、有効封圧の影響は判然としなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ピークおよび残留強度状態における岩石の有効応力係数を求めるため、Failure Envelope Methodを改良したModified Failure Envelope Method (MFEM)を考案し、来待砂岩について適用することができたため、今年度の予定はほぼ達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、美唄砂岩・支笏溶結凝灰岩・稲田花崗岩についても実験を実施し、これらの岩石における有効応力係数を求める。求めた有効応力係数は、何らかの関数として表現し、FEMへの組み込みを試みる。
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