研究課題/領域番号 |
26420844
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
大倉 利典 工学院大学, 工学部, 教授 (70255610)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ガラス固化 / リン酸塩ガラス / ヨウ素 / セシウム / ストロンチウム / 放射性物質 / マグネシウム化合物 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムのマグネシウム化合物による効率的な回収について安定同位体を用い検討し、その後安定な固化ガラスとして最終処理を行う一連のプロセスの開発を目的とした。 ヨウ素の回収及びガラス固化処理に関し、JIS活性炭試験法(JIS K 1474)の吸着性能評価法(液相)を用いて、マグネシウム化合物のヨウ素吸着性能評価を行った。その結果、酸化マグネシウムの小粒径試料で最大2.23 g/gのヨウ素吸着性能を示すことがわかった。また、水酸化マグネシウム試料については、吸着量が少ない為、JIS規格に準ずる範囲の吸着等温線を得ることが出来なかった。これは、吸着性能が表面積に依存することや、酸化マグネシウムが水に対して溶解度が高いのに対し、水酸化マグネシウムは難溶性なため、化学吸着と物理吸着の割合が異なるためと考えられる。 セシウム、ストロンチウムの回収及び最終処理として、酸化マグネシウムを用いた液相におけるセシウム、ストロンチウムの回収実験、ガラス固化処理を行った。リン酸によりpH調整を行った酸化マグネシウムを用いた吸着実験において、振とう開始後20分程度で、セシウム、ストロンチウムイオンの残留濃度は共に大幅に減少した。さらに、セシウム、ストロンチウムのガラス固化範囲及び耐水性を確認するため、MgO-Cs2O-P2O5系及びMgO-SrO-P2O5系ガラスをMgO+Cs2O or SrO:P2O5の組成比40:60~60:40の間で作製した。回収後の固化ガラスに関し、セシウム、ストロンチウム固化ガラスでは、仕込み量に応じた割合でガラス中に保持されていることから長期安定的に効率良く、最終処理が行えることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化マグネシウムを用いて、ヨウ素の効率的な回収、リン酸存在下においてセシウム・ストロンチウムの効率的な回収ができ、さらにセシウム・ストロンチウムはガラス固化により長期安定的に効率良く最終処理が行えることが明らかになったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、まず初めに「JIS 活性炭試験法の吸着性能(液相)評価」を応用し、各種マグネシウム化合物のヨウ素吸着性能評価を行った。続いて気相に対する評価を行い、適切なマグネシウム化合物を選択し、anomalous タイプリン酸塩ガラスであるリン酸マグネシウムガラスを用いてガラス固化体を作製する。セシウム、ストロンチウムについては、リン酸カルシウムガラスを用いてイオン交換により回収し、マグネシウムとの混合系ガラス固化体を作製する。さらに模擬廃棄物を混合し、溶融後、急冷して固化ガラスを作製する。得られた固化ガラスについて、密度測定をはじめ、DTA・XRD・FT-IR・Laser Raman などによる評価を行う。浸出実験はMCC 法を用いて行う。さらにγ線(Co-60)照射試料に対しても同様の評価を行う。
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