本研究では、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムのマグネシウム化合物による効率的な回収について安定同位体を用いて検討し、その後安定な固化ガラスとして最終処理を行う一連のプロセスの開発を目的とした。ヨウ素については、酸化マグネシウムの小粒径試料で最大2.23 g/gのヨウ素吸着性能を示すことがわかった。固化ガラスの紫外可視拡散反射スペクトルからは、ヨウ化物イオンに相当するピークは見られなかったため、化合物の形でガラス中に保持されていると考えられる。セシウム、ストロンチウムに関しては、酸化マグネシウムを用い、リン酸によりpH調整を行うことで、十分な回収性能を示した。セシウム固化ガラスでは、リン酸異常現象は見られず、金属元素の添加量に応じて密度が上昇した。ストロンチウム固化ガラスでは、MgO+SrO:P2O5=47:53(モル比) の試料で、密度の低下が見られた。また、仕込み量と同等の組成が維持されていることから、長期安定的に効率良く最終処理が行えることが示唆された。耐水性試験の結果、セシウム固化ガラスでは、セシウムおよびマグネシウムの添加量によらず、一定の浸出量、浸出率となり、ストロンチウム固化ガラスでは、ストロンチウムの添加に伴い耐水性が上昇した。MgO-P2O5系固化ガラスに比べて、MgO-Al2O3-P2O5系、MgO-B2O3-P2O5系 固化ガラスの溶出が少なくなり、MgO-Nb2O5-P2O5系固化ガラスではほとんど溶出が見られなかった。3成分系にすることで耐水性を向上させることができることがわかった。P-O-P よりも水に強いP-O-M 結合を生成するカチオン種を添加することで、固化ガラスの耐水性の向上が見込まれると考えられ、Al2O3、B2O3、Nb2O5のような3成分目の酸化物の添加によってこれを確かめることができた。
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