研究課題/領域番号 |
26420851
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 定義 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40249967)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高エネルギー粒子 / 非線形クーロン衝突 / 運動論方程式 |
研究実績の概要 |
本研究では,これまで高エネルギー粒子閉じ込めにおいて考慮されていなかった非線形衝突効果,すなわち高エネルギー粒子間衝突の高エネルギー粒子閉じ込めへの影響について,5次元位相空間ドリフト運動論方程式解析コードGNETを拡張し,研究を行う.平成27年度は,昨年度GNETコードに導入した非線形衝突モデルについて流体型のFokker-Planck解析コードTASK/FPとのベンチマークを行った.粒子軌道の効果を無視し,単位体積当たりにビームイオンを発生させ,その場合のビームエネルギー減衰分布のビームパワー依存正について,得られた結果を比較した.結果として,比較的良い一致がえられることが示された.現在,より現実的な配位における非線形衝突効果の検証を進めている.この他,この非線形高エネルギー粒子間衝突演算子を応用し,LHD重水素実験における重水素ビーム間の核融合反応の評価を行うことに成功した.これによりこれまで評価されていなかった,有限軌道幅を含む高エネルギー粒子間の核融合反応を含む中性子発生量を定量的に評価できた.これらの研究成果は,国際会議等で発表するとともに,論文として投稿・掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GNETコードに組み込まれた非線形衝突演算子のベンチマークと流体的なFokker-Planckコードとのベンチマークを行い,コードの信頼性の検証が行われた.現在,より現実的な状況における非線形衝突効果の検証を進めている.また応用として,これまで非線形衝突モデルで得られた知見をもとに高エネルギー粒子間の核融合反応を計算するコードを整備し,新たな結果を得ることができた.これらのことから,当初の予定よりも若干進行が遅れているが,応用研究が進められるなど,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
これまでのベンチマークによる検証をもとに,さらに基礎的な状況を仮定し,非線形衝突の影響を検証する.次に,現実的な配位(JT-60やLHDなど)を用いて実験プラズマにおける非線形衝突のビーム粒子損失への影響について検討をすすめる.また,応用として進めている高エネルギー間における核融合反応の評価についても,様々な状況について検証を進める.特に,LHD重水素実験においては,重水素間の核融合反応の定量的な評価が求められており,高エネルギー粒子間の反応を含む定量的な評価を行う.
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