研究課題
本研究は、基礎実験や核融合プラズマ実験など広範な規模の実験データ及び数値プラズマデータに適用可能な、プラズマ乱流中における局所乱流統計量の大規模構造との相関に関する知見を得るための、乱流プラズマデータ解析法の開発を目的とする。本研究の骨子は、網羅する空間スケールの異なる複数の揺動データを組み合わせ、片方のデータの確率密度関数に従ってもう一方のデータを条件付き平滑化・サンプリングし、乱流状態(スペクトル、確率密度関数、特に大偏差統計など)の規則・不規則な変動を明らかにする。本解析法の開発により、異なる統計則に支配され得る複数の乱流が周期的現象・突発現象や確率過程で遷移を繰り返す状態、すなわち乱流の準定常状態などの実態解明に道を拓く手法の開発を目的とする。本年度は、基礎実験装置の多チャンネルプローブの整備とそのデータの解析を行い、九大の基礎直線プラズマ装置では、浮遊電位などの径方向小僧が確率的に遷移・逆遷移する現象が観察されている。遷移と逆遷移する上で周方向に積分した浮遊電位の変動を用いて条件付き仕分けを行い、分布や揺動の時間発展を詳細に調べた。その結果、遷移・逆遷移が発生するタイミングは、半径5㎝のプラズマよりも数センチほど径方向外側で最も早いことが判明した。また、遷移・逆遷移に伴い振幅の増減する各モードの揺動振幅を調べると、モードごとに増減の向きが異なることが判明した。一方、そのような現象を定量的に解明するためには、静電ポテンシャルの高速測定が必要であるとの観点から、当初予定にはなかった静電ポテンシャル揺動の計測をシングルプローブ法を用いて実施し、初期結果を得た。
2: おおむね順調に進展している
確率的遷移現象を明らかにする上で、多チャンネルプローブの整備と静電ポテンシャルの揺動計測に道を拓くことが出来たため。
まず、基礎実験としては、直線プラズマで得られている確率的遷移現象やバイアス実験を対象に、多チャンネルプローブデータから乱流駆動径方向輸送と空間積分データとの相関を見る。研究計画では多チャンネルアレイの1つを駆動プローブとして使用予定であったが、遷移現象の前後で発生する揺動の強度と符号の変動は、揺動のモード数毎に異なることが判明し、揺動の高次のモード数を得る必要が出てきた。そこで、多チャンネルアレイとは別に、駆動用のプローブを用意し、空間積分用のプローブは16チャンネルを確保する。その上で、データ取得を行い本分析法の有用性を検証する。その後、本研究の手法の数値乱流プラズマやトロイダルプラズマへの適用を検討する。
多チャンネルプローブ整備用のエクステンションの費用が想定よりも安価であったため。
多チャンネルプローブ整備用のセラミック管の購入費用に充てる。セラミック管は消耗品であり、プローブ破損等の不測の事態への対応が可能となる。また、本予算によって、内外径の異なるセラミック管を用意可能となり、静電ポテンシャル揺動実験を最適化可能かを試験できる。
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