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2015 年度 実施状況報告書

セラミックスコーティングを用いた核融合炉用先進的超伝導線材の開発と評価

研究課題

研究課題/領域番号 26420856
研究機関大同大学

研究代表者

町屋 修太郎  大同大学, 工学部, 准教授 (40377841)

研究分担者 西島 元  国立研究開発法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (30333884)
長村 光造  公益財団法人応用科学研究所, その他部局等, 研究員 (50026209)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードX線応力測定法 / 線膨張係数 / セラミック複合材 / 残留応力
研究実績の概要

今年度は、前年度に引き続き、アンモニアガスによる窒化(アンモニア窒化)を継続的に行っている。アンモニア窒化については、断面写真およびX線回折によって評価を行っている。現在行っている620℃10時間の熱処理においては、4マイクロメートル程度の膜厚のCrNが生成されていることを確認できており、処理時間を増やすことにより、おおよそ7マイクロメートルの膜厚でCrNを生成できる見込みである。また、X線回折によって、条件によってはCr2N相ができることを確認しているが、条件により、ほぼ全量をCrNにできることがわかっており、時期に処理を行う引張試験用の試験片に適用したいと考えている。
応力測定においては、前回の報告でも示したように、単線のNb3Snでは、15kWのローター管球のX線回折装置を用いても、十分な強度の1プロファイルを得るのに10時間程度が必要であり、強度的に実用的でないことが示された。これは元来Nb3Snの回折強度が弱いことに起因しており、X線回折装置での引張試験はほぼ困難であり、シンクロトロン放射光などの高強度X線が必要である。
しかしながら、研磨面を用いて、室温にて残留している熱応力についてX線応力測定を試みたところ、Cu-Kα特性X線を用いて、Nb3Snの523面を測定することでNb3Snの残留応力をよい精度で測定できることを確認した。これは、試料を準備する際に6本を並べて研磨し、X線回折においても6本から同時に回折を得る手法としたため、精度向上につながっている。このように、室温の熱残留応力については、ラボX線においてもX線応力測定が適用できることを明らかにできた。
次年度は、アンモニア窒化されたNb3Sn線材と未処理の線材との比較をX線残留応力測定法を使って評価を行っていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

アンモニア窒化は、実線材のに4マイクロメートル程度の窒化層を生成することに成功している。次年度は、引張試験を行えるサイズのやや長尺の試料の熱処理を行っていく計画である。
回折強度の不足により単線での引張試験が行えなくなったという意味で、計画書と違いが出ており、その意味でやや遅れているとした。一方で、熱残留応力については、弱い回折強度ながら、本数を増やすことで高精度に測定できること確認している。ラボX線を用いたNb3Snの応力測定はこれまで前例がなく、新たな知見という意味では順調に推移していると考える。中性子やシンクロトロン放射光などを用いずとも、簡便な応力測定が可能となるため、ここに特化した研究を続けたい。

今後の研究の推進方策

アンモニア窒化は、実線材のに4マイクロメートル程度の窒化層を生成することに成功しおり、引張試験ならびに臨界電流が行えるサイズの10cm程度の線材の処理を行う予定である。
Nb3Sn線材は、臨界電流を得るためには、生成のための熱処理が必須であり、保守的な処理では570℃150時間に650℃100時間を連続して行うことが多い。この温度はアンモニア窒化処理に近い温度であり、アンモニアによるガス窒化と生成のための熱処理を同時に行うことを試みたい。引張試験や臨界電流測定では、真直な試料が必要であるので、それについても課題がある。治具などを作って試行したい。
残留応力・ひずみの評価については、引き続きラボX線装置をもちいた研究に特化して行っていきたい。これが実現できれば、高エネルギーX線や、中性子などの線源を用いなくとも、内部のフィラメントの熱応力に起因した残留応力を測定できる技術となるため、有効性は大きい。回折強度が小さいため、スタックすることで強度を高めて、室温での応力測定手法を確立したい。
これらで得られた試料をもとに、下記の実験を行う予定である。
①液体窒素温度以下での線膨張係数測定(67K程度) ②未処理線材とアンモニア窒化された線材との室温でのNb3Sn相の熱残留応力測定 ③臨界電流測定(NIMSにて)

次年度使用額が生じた理由

線材の熱処理に時間がかかるため、条件を議論しており、遅れている関係で、次年度に繰り越しを行った。

次年度使用額の使用計画

熱処理条件が固まり次第、順次、熱処理を行いたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Colorado(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Colorado
  • [学会発表] Recent Progress of Local Strain Measurements in Practical Superconducting Wires and Conductors using Quantum Beam Techniques2016

    • 著者名/発表者名
      S. Machiya
    • 学会等名
      8th Workshop on Mechanical and Electromagnetic Properties of Composite Superconductors MEM 2016
    • 発表場所
      Tallahassee, Florida, USA
    • 年月日
      2016-03-23
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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