研究実績の概要 |
高温ガス炉にリチウム化合物を装荷して6Li(n,a)T反応(Li-6が中性子を吸収してトリチウムとアルファ粒子が生成する反応)によりDT核融合炉の燃料であるトリチウムを製造する方法について検討を行った。これまでに、概念設計が行われた熱出力50MWの高温ガス炉HTR50Sを対象に、従来の可燃性毒物の代わりに棒状のリチウム化合物を燃料ブロックに装荷する場合について炉心燃焼計算を行い、リチウム化合物を装荷した高温ガス炉が、核的及び熱的に成立することを確認した。平成29年度はこれまでの検討結果をベースにして、燃焼期間の長期化及び製造するトリチウムの閉じ込め性能の向上について検討を行った。燃焼期間の長期化については、リチウム化合物を中空の棒状にして燃料ブロックに装荷し、その外側表面積及び厚さを調節することで、燃焼に伴う過剰反応度の変化をより平坦化して燃焼期間の長期化を図ったが、従来の中実の棒状に装荷する場合の燃焼期間と大きな違いは得られなかった。製造するトリチウムの閉じ込め性能の向上については、比較的温度の低い炉心側部反射体ブロックにリチウム化合物を装荷する場合について炉心燃焼計算を行い、従来の燃料ブロックにリチウム化合物を装荷する場合と同程度のトリチウム製造(1g/MW-year)が可能なことが分かった。炉心側部反射体ブロックの定格運転時の温度は、燃料ブロックの温度に比べて平均で400℃程度低く、リチウム化合物を炉心側部反射体ブロックに装荷することで、従来の燃料ブロックにリチウム化合物を装荷する場合に比べて、トリチウム製造量を減らすことなく閉じ込め性能を向上できる可能性があることが分かった。
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