研究課題/領域番号 |
26420862
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
林 伸彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 那珂核融合研究所, 研究員 (10354573)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 統合モデリング / 崩壊現象 / 制御 / 不純物 / 燃料 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
1、統合モデル・コードの開発・改良:(1)統合コードTOPICSに結合したペレット入射モデルAPLEXで、崩壊緩和用と燃料供給用のペレットの切り替えをリスタート時点でできるように改良した。(2)不純物輸送コードIMPACTを整備・改良し、TOPICSに結合して、カーボンとアルゴンの各価数の時間発展密度分布を同時に解き、放射損失等を計算し、バルクプラズマへの影響を矛盾なく考慮して統合計算できるように整備した。併せて、不純物輸送で重要なクーロン衝突輸送モデルを整備した。(3)プラズマの回転に伴うピンチモデルは、名古屋大学との共同研究の一環として、不純物の電離・再結合過程に起因する方をJT-60実験結果と比較検証を行った。不純物蓄積の傾向は合うが定量的には足りず、径電場に起因する方を合わせて考慮する必要があることが分かった。(4)次年度以降のためにダイバータ板での不純物発生の既存のモデルを調査した。(5)IMPACTとダイバータ統合コードSONICの不純物部分との結合方法を検討した。 2、ペレットによる分布崩壊緩和と燃料粒子供給との整合性解明:上記(1)で崩壊緩和用と燃料供給用のペレットを扱えるように改良した統合コードを用いて、崩壊緩和用ペレットによる分布崩壊緩和のシミュレーションを行い、燃料供給ペレットを入射して崩壊を誘起しないで入射できるかを調べた。崩壊緩和ペレットによる分布崩壊直後は次の崩壊を誘起し難いため、そのタイミングで燃料供給用ペレットを入射できる可能性があることを明らかにした。あわせて、ITERで必要となる崩壊緩和用ペレットの大きさと速度を評価し、現在の経験的設計値に物理的背景を与えた。 3、研究調査および成果発表:論文発表やポスター発表を行うなど、得られた研究成果の発表を行い、調査・討論を通して、関連する研究の情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画はおおむね実施できた。ただし、IMPACTと5点モデルとの統合よりも、より詳細な結果を得るためにIMPACTとSONICの不純物部分との統合を優先して行い、その知見を活かして5点モデルとの統合を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に得られた結果を基にして、以下の事項を行う。 1、統合モデル・コードの開発・改良:(1)IMPACTと5点モデルとの統合よりも、より詳細な結果を得るためにIMPACTとSONICの不純物部分との統合を優先して行い、その知見を活かして5点モデルとの統合を行う。(2)TOPICSに導入されているELMモデルを、IMPACTにも導入する。(3)前年度調査したダイバータ板での不純物発生の既存のモデルを基に、統合コードに結合できるモデルを開発する。(4)実験で得られた経験的モデルか乱流拡散の抑制モデルを導入して境界輸送障壁の幅が自律的に決まるようにする。(5)プラズマの回転に伴うピンチモデルは、径電場に起因する方を改良し、JT-60実験と比較検証できるようにする。 2、緩和した分布崩壊による不純物排出性能と不純物蓄積量の評価:崩壊緩和ペレットによる分布崩壊緩和のシミュレーションを行い、緩和した分布崩壊による不純物粒子排出性能、不純物蓄積量を調べる。排出性能は不純物蓄積量を通して評価するが、緩和した分布崩壊によるダイバータ板の不純物発生量の低減の効果と区別するために、初めはダイバータ板での不純物発生量は固定する。排出性能を評価した後で、ダイバータ板での不純物発生モデルを用いて、不純物発生量の低減の効果を考慮した不純物蓄積量を評価する。 3、燃料供給と不純物排出と整合した分布崩壊緩和状態における燃焼プラズマ性能評価:これまでに得られた燃料供給と不純物排出と整合した条件で分布崩壊緩和のシミュレーションを行い、核融合エネルギー利得等の燃焼プラズマの性能を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の健康上の理由により出張の回数等を抑制したため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該助成金と翌年度分として請求した助成金と合わせて、物品購入、旅費、その他のために使用する。 物品購入:前年度購入した物品を複数ディスプレイや既存の電源に接続するためにアダプタが必要であるので購入する。また、セキュリティ確保のためソフトウェア更新、記録メディア購入を行う。旅費:欧州物理学会等の国内外の学会や会議で研究調査・打ち合わせや成果発表のために使用する。その他:学会や会議の参加費、論文投稿料に使用する。
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